表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/88

67


   ☆67☆


「星図まで消えちまったか。まあ、自業自得と言えなくもないが。しかし、ちょっと気になる事があるな」

 俺はバクのほうを振り向く。

 バクが、

「何が気になるバク?」

「登校者の数だよ。

 俺と音破、

 凛華、

 巡、

 星図。

 合わせて五人しか学校に来ていない。それに、よくよく考えると、

 ここへ来るまでに、誰にも会ってないんだよ。

 いったい他の連中はどうなったんだ? 

 あれだけの悪夢騒ぎが起きながら、誰一人駆けつけないってのは、おかしくないか?」

 バクが、

「確かにおかしいバク。これはひょっとすると」

「ひょっとすると何だ?」

 バクが深刻な表情で、

「ひょっとすると、最悪の事態が起きているのかもしれないバク」

 俺は驚きがら、

「何なんだ? 最悪の事態ってのは?」

 バクが言葉に詰まり、

「つ、つまりバクね、この世界の、ほとんどの人たちが、突然現れた悪夢とともに、みんな消滅した可能性がある。ということバク」

 俺は驚愕し、

「なっ! せ、世界中の人間が、き、消え、しょ、消滅しただって!? いくらなんでも、そんなバカな事が、ありえないだろ!

 そ、そんな途方もない能力が、

 この世に存在するはずがない!」

 バクが俺を落ち着かせるように、

「あくまで最悪の話バク。みんながみんな、悪夢と一緒に消滅したとは限らないバク」

 凛華がスマホを取り出して写メを見せる。

 そこには、烈火、サヤ、雷夢の三人の姿が写っている。

 凛華が、

「あたしの知っている学校の人は、音破の写メで知った、

 烈火お姉ちゃん、

 サヤお姉ちゃん、

 雷夢お姉ちゃんの三人だけど、ちゃんと学校に来てくれるかな?」

 俺は思考をめぐらし、

「あの三人なら大丈夫だろう。単純だけど、変に高い能力に恵まれているから。悪夢ごときにやられはずがない」

「誰が単純なのだ! 誰が!?」

 烈火がプリプリしながら喰ってかかる。

 俺は、

「いや、無事でなによりだ、烈火。心配したんだぞ」

 烈火が肩を怒らせ、

「心にもない事を。ドロボーの言う事は信用出来ないのだ!」

 俺は、

「元ドロボーだが」

 烈火が一喝する。

「一緒なのだ! ところで、悪夢にやられるとは、どういう事なのだ? あたしも昨日、変な夢を見たのだ」

 俺は慌てて、

「待て待て! 悪夢について考えるな! 思い出すな! 今すぐ忘れろ! さもないと」

 烈火が不思議そうに、

「さもないと何なのだ!」

「さもないと何なのだ!」

 ほぼ同時に烈火の声が【二つ】聞こえた。

「え!? ま、まさか!?」

 俺は自分の目を疑った。

 烈火が、

「貴様いったい何者なのだ!?」

 もう一人の烈火が、

「貴様こそいったい何者なのだ!? あたしの偽物め!」

「貴様こそ昨日あたしが見た悪夢に出てきた、あたしの偽物なのだ!」

「何を言うのだ貴様こそ、あたしの悪夢に出てきた偽物なのだ!」

「この嘘つき!」

「この嘘つき!」

 もう、どっちが本物で、どっちが偽物か、さっぱり分からなくなった。

 二人が同時に紅蓮剣を取り出し、激突する。

「こうなったら力ずくで、あたしが本物だと証明するのだ」

「何を言う、偽物の化けの皮をはいでやるのだ!」

 火花を散らす紅蓮剣の斬りあい。

 数十合後、

 両者が距離を取り、

 炎の魔弾を射出。

 校門の前で数十の爆発が生じ、  二人同時に紅蓮剣を地面に刺すと、

 同時に獄界神ゲヘナス召喚を開始する。

 俺は、

「いい加減にやめろよ! 二人そろって消滅するぞ!」

 二人の烈火が、

「望むところなのだ!」

「望むところなのだ!」

 話にならない。

 三分後、

 ゲヘナスを召喚した二人は、

 ともにゲヘナスに乗り込み、

 周囲に結界を張ると、

 先ほど以上の斬りあいを開始した。

 ゲヘナス同士の戦いは熾烈を極めた。

 やがて、

 二人の烈火が、

「貴様なかなかやるではないか! 見直したのだ!」

「貴様もなかなかやるではないか! これなら、今度こそ地獄の少女道化師をやっつけられるのだ!」

「二度も逃がしてしまったからな! 

 一時は自分の不甲斐なさに愛想がつきたが、

 こうして自分自身と戦ってみると、

 やっぱりあたしは強いのだ! 

 という事がはっきり分かったのだ!」

「うむ! 今度こそあの悪者を捕まえるのだ! 今なら出来そうな気がするのだ!」

 そう言い終えると二人ともゲヘナスから出てきて握手し、

「絶対ゲヘナスを倒すのだ!」

「絶対ゲヘナスを倒すのだ!」

 と意気統合し、次の瞬間、光のヒビが入り、二人同時に光の粒子となって消え去った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ