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俺はイライラしながら校門前をウロウロし、
「結局、悪夢を倒そうが、夢を見た当事者が消えて無くなる事実に変わりはないって事だ。つまり、
悪夢を頭に思い浮かべた瞬間にバッドエンドが確定する。
まさしく八方塞がりの状態だな」
俺はその場に仰向けに寝っ転がって、腕と足を組み、空を睨みつける。
「そもそも、消えた音破と巡を元に戻せるのかどうか?
そいつが一番の問題だ」
星図が、
「って、朝から何やってんのさ? 誰かに見られたらどうするんだよ?」
俺ははね上がる。
「星図か! いいか星図! 今から俺の言う事をしっかり聞いて、絶対に余計な事を考えるんじゃないぞ! いいな!」
星図が目を丸くして驚く。
「え? やぶからぼうに、いったい何の事だよ? よっぽど大変な事でも起きたの?」
俺は悪夢に触れないよう、
「いいか、心して聞けよ。これでお前の運命が決まるからな。バッドエンドになりたくなかったら、俺の言う事をおとなしく聞け。いいな星図」
星図が思案し、
「バッドエンドって言ったらさ、昨日ひどい悪夢を見ちゃってさ。
いや、悪夢っていうか、
夢が実現したっていうか、
何とも微妙なんだけどね」
俺は、
「って! 核心に入る前にバッドエンドにしやがった! 星図のバカっ!」
俺の剣幕に恐れをなし、
「な、何でそんなに怒るのさ? 夢の話をしただけなのに。
とにかく悪夢と言えば悪夢なんだけど、僕にとっては、いい夢だったんだよ。
何しろ、僕が書いているラノベの主人公、
破壊神☆魔法少女ラララが出てくる夢を見ちゃったんだから。
ちょうど今書いているシーンが、
ラララが悪魔に取りつかれて、
破壊神☆魔法少女になって、街を破壊しまくるって、
お話だからね。
僕まで襲われて大変だったんだけどさ」
俺は怒髪天をつく勢いで、
「このバカっ! くだらんラノベを書いてんじゃあないっ! そいつが命取りになるんだよ!」
謎の少女の声が響く。
「ウハハハ! くだらないラノベとは酷いわね! そういう、わからず屋は死になさい!
マジカル☆デスショット!」
突然現れたゴスロリ少女が黒いステッキを振り回す。すると、漆黒の刃が次々に飛んでくる。
俺はとっさに身をかわす。
凛華が、
「スター☆ディフェンス!」
逃げ遅れた星図を、凛華が星型の盾でかばう。
星図が驚き、
「あ、あれは!
破壊神☆魔法少女ラララじゃないか!
何てこった!
昨日の夢が現実になるなんて! 夢なら覚めないで!」
俺は声を枯らして、
「バカっ! 余計な事を言ってるヒマがあったら、とっとと逃げろ!」
ラララが、
「魔法少女は二人もいらないわ! あんたは消えなさい!」
ラララが、
「ブラック・グラディウス!」
ステッキが漆黒の大剣へと変わり、凛華に切りかかる。
凛華も、
「マジカル☆スターソード!」
ステッキが光の剣と化す。
ラララのグラディウスを迎え撃つ。
凄まじい剣撃と剣圧に付け入るスキがない。
星図が感動したように、
「ああ! 夢にまで見た魔法少女同士の激突! 夢の対決が、今! 目の前で繰り広げられているよ! ぼ、ボカア、し、幸せ、だ、な」
星図の全身に光のビビが入り、
一瞬で光の粒子と化す。
ラララが驚いたように、
「バカっ! 何でワタシより先に消えるのよ! まだまだ、これからだって言うのに!」
ラララも光の粒子となって消え失せた。
「くっ、やっぱり死亡フラグは回避出来なかったか!」




