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  ☆66☆


 俺はイライラしながら校門前をウロウロし、

「結局、悪夢を倒そうが、夢を見た当事者が消えて無くなる事実に変わりはないって事だ。つまり、

 悪夢を頭に思い浮かべた瞬間にバッドエンドが確定する。

 まさしく八方塞がりの状態だな」

 俺はその場に仰向けに寝っ転がって、腕と足を組み、空を睨みつける。

「そもそも、消えた音破と巡を元に戻せるのかどうか? 

 そいつが一番の問題だ」

 星図が、

「って、朝から何やってんのさ? 誰かに見られたらどうするんだよ?」

 俺ははね上がる。

「星図か! いいか星図! 今から俺の言う事をしっかり聞いて、絶対に余計な事を考えるんじゃないぞ! いいな!」

 星図が目を丸くして驚く。

「え? やぶからぼうに、いったい何の事だよ? よっぽど大変な事でも起きたの?」

 俺は悪夢に触れないよう、

「いいか、心して聞けよ。これでお前の運命が決まるからな。バッドエンドになりたくなかったら、俺の言う事をおとなしく聞け。いいな星図」

 星図が思案し、

「バッドエンドって言ったらさ、昨日ひどい悪夢を見ちゃってさ。

 いや、悪夢っていうか、

 夢が実現したっていうか、

 何とも微妙なんだけどね」

 俺は、

「って! 核心に入る前にバッドエンドにしやがった! 星図のバカっ!」

 俺の剣幕に恐れをなし、

「な、何でそんなに怒るのさ? 夢の話をしただけなのに。

 とにかく悪夢と言えば悪夢なんだけど、僕にとっては、いい夢だったんだよ。

 何しろ、僕が書いているラノベの主人公、

 破壊神☆魔法少女ラララが出てくる夢を見ちゃったんだから。

 ちょうど今書いているシーンが、

 ラララが悪魔に取りつかれて、

 破壊神☆魔法少女になって、街を破壊しまくるって、

 お話だからね。

 僕まで襲われて大変だったんだけどさ」

 俺は怒髪天をつく勢いで、

「このバカっ! くだらんラノベを書いてんじゃあないっ! そいつが命取りになるんだよ!」

 謎の少女の声が響く。

「ウハハハ! くだらないラノベとは酷いわね! そういう、わからず屋は死になさい!

 マジカル☆デスショット!」

 突然現れたゴスロリ少女が黒いステッキを振り回す。すると、漆黒の刃が次々に飛んでくる。

 俺はとっさに身をかわす。

 凛華が、

「スター☆ディフェンス!」

 逃げ遅れた星図を、凛華が星型の盾でかばう。

 星図が驚き、

「あ、あれは! 

 破壊神☆魔法少女ラララじゃないか! 

 何てこった! 

 昨日の夢が現実になるなんて! 夢なら覚めないで!」

 俺は声を枯らして、

「バカっ! 余計な事を言ってるヒマがあったら、とっとと逃げろ!」

 ラララが、

「魔法少女は二人もいらないわ! あんたは消えなさい!」

 ラララが、

「ブラック・グラディウス!」

 ステッキが漆黒の大剣へと変わり、凛華に切りかかる。

 凛華も、

「マジカル☆スターソード!」

 ステッキが光の剣と化す。

 ラララのグラディウスを迎え撃つ。

 凄まじい剣撃と剣圧に付け入るスキがない。

 星図が感動したように、

「ああ! 夢にまで見た魔法少女同士の激突! 夢の対決が、今! 目の前で繰り広げられているよ! ぼ、ボカア、し、幸せ、だ、な」

 星図の全身に光のビビが入り、

 一瞬で光の粒子と化す。

 ラララが驚いたように、

「バカっ! 何でワタシより先に消えるのよ! まだまだ、これからだって言うのに!」

 ラララも光の粒子となって消え失せた。

「くっ、やっぱり死亡フラグは回避出来なかったか!」

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