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深夜の午前二時ごろ、
「竜破、竜破、早く起きるアル。敵が近づいて来るアル」
雷夢が俺を揺すぶって起こした。
「分かった。準備する」
俺は黒い革のスーツを着て、仮面をつけた。
雷夢はとっくにチャイナドレスに着替えている。
俺は、
「たぶん地獄の少女道化師だろうけど、何で分かった?」
雷夢が得意そうに、
「街に結界を張っておいたアル」
俺は、
「仙術っていうのは便利なもんだな」
雷夢が不思議そうに、
「だけど、どうしてこの場所が分かったアルか?」
俺は、
「おそらく、極限まで細くした液状ムチを伸ばして結界をすり抜け、俺たちの動きを探っていたんじゃないか。ともかく、いよいよ本体のお出ましってわけだ」
雷夢が納得したように、
「な〜る。それじゃ、結界で探知出来ないわけアル」
俺は窓を開けて、そこから飛び降りた。雷夢も俺のあとに続く。
俺は、
「赤羽公園に行こう。そこなら暴れても大丈夫だ」
すると聞き慣れた声が、
「ほほう、それならあたしも一暴れするのだ」
「デスね」
烈火とサヤだ。
サヤが、
「結界を張るのは私も得意なのデス。怪しい動きを察知したので駆けつけました」
烈火が、
「あたしはサヤからメールをもらって駆け付けたのだ」
烈火の身体は紅蓮剣によって、すでに強化されていた。
俺は、
「サヤの術で赤羽公園に人が入らないように出来ないか?」
サヤが、
「それぐらい簡単なのデス。人払いの結界を張っておきます」




