60
☆60☆
烈火とサヤが帰り、風呂も済ませたあと、俺と雷夢と音破で、しばらくカードゲームをした。
そのあと、問題の寝るだけとなる。
音破が、
「雷夢お姉ちゃん、本当にお兄ちゃんの部屋で寝るの? 大丈夫かなあ? 襲われても知らないよ」
俺は、
「襲わんは!」
大いに抗議すると雷夢が、
「その時は五百万ボルトの電気椅子より超強力な雷撃をお見舞いするアル」
音破が安心したように、
「スタンガンかな? でも、それなら安心だね!」
満面の笑みを浮かべて自分の部屋に戻る音破。
音破がいなくなって雷夢と二人だけになると、途端に気まずい雰囲気になる。
俺は母さんが用意した布団を押し入れの中に敷いて、
「俺は押し入れで寝るから、雷夢はベッドを使えよ」
「アタシが押し入れで寝るアル。竜破はいつも通りベッドを使うアル」
俺は、
「大丈夫か?」
雷夢が胸を叩き、
「大丈夫アル。修行中は
もっとヒドイ掘っ立て小屋で寝泊まりしていたアル。それと比べれば、天国同然アル」
どんだけ酷い環境なんだ。
「結構、苦労してるんだな。ところで、星図には仙術の事をどこまで教えたんだ?」
雷夢が、
「詳しくは教えていないアル。
拳法と気功と風水を足して割った、みたいな事を話しただけアル。
星図の両親は仙術を使えるアルが、なぜか星図には教えてないアル。だから、
アタシも星図には仙術の事を秘密にしているアル」
俺は、
「そう言えば、俺たちの事は話したが、雷夢の話は全然、聞いてなかったな。ハンターの仕事って何なんだ?」
雷夢が、
「 ハンターは異能を悪事に使う奴ら、人間、亜人、魔族を問わず捕まえて、亜人街のギルドから賞金をもらう仕事アル。
香港特零区は別名、
亜人街と呼ばれているアル。
毒をもって毒を制す。
悪の異能力者を捕まえるために、正義の異能力者が集まって出来た街が亜人街アル。
その街にギルドが生まれたアル。
特殊な人間、亜人から魔人、悪魔、異世界転生者まで、異能力の持ち主が、たくさん集まっているアル」
俺は、
「そうか。それじゃ、もしかしたらスコーピオンの情報があるかもしれないな。といっても、今は地獄の少女道化師だけで手一杯だが。それと、仙術の修行ってのはどんな事を」
「・・・」
返事がない。
シカバネのようだ。
何やかんや色色あって疲れたんだろうな。
雷夢は布団にくるまってグッスリと眠っていた。
俺も一休みする事にしよう。




