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   ☆5☆


 そろそろ日が暮れてきた。

 夕日に染まる新宿の高層ビル群を眺めながら、俺と烈火、おまけの星図を入れた三人が、新宿美術館へと向かう。

 俺が、

「結局、星図もついて来るんだな」

 星図が、

「何なの! その嫌そうな言いかたは? 冗談じゃないよ。僕だって新宿美術館に用事があって行くんだよ! たまたま、二人と方向が一緒なだけだよ! 誤解しないで欲しいな!」

 烈火が星図をにらみ、

「用とは何の用なのだ?」

 星図がしどろもどろに、

「そりゃあ、あの、色々とあるんだよ」

 俺が、

「素直にゲロデムの捕縛を手伝うって言えばいいじゃん」

 烈火が怒り顔で、

「星図は足手まといだから来ちゃダメなのだ!」

 俺が、

「まあまあ、乗り掛かった船だし、星図も何か役に立つかもしれないし、協力してもらおうじゃないか。何の役にも立たない可能性も高いが」

 烈火が嘆息し、

「仕方がないのだ。竜破がそこまで言うなら、星図を連れて行ってもいいのだ。だが、間違っても、あたしたちの邪魔をするな! なのだ!」

 星図が、

「わ、分かったよ。邪魔しないように、おとなしくしているよ」

 ようやく話がまとまったらしい。

 俺がホッと一息ついていると、

 タイヤの軋る悲鳴じみた音とともに、ドンという鈍い音が道路に響いた。

 ガードレール越しに道路を覗くと黒猫が車にひかれて、かなり酷い有り様になっていた。

 猫をひいた車はさっさと逃げ出す。

 星図が黒猫を見て、

「うっわ! 黒猫がグッチャグチャだよ! 即死かな?」

 俺が、

「いや、まだ生きているな。だけど」

 烈火が、

「生きているなら助けるのだ!」

 俺が、

「いや、俺が何とかするから、お前らは先に行っててくれ」

 烈火が、

「でも」

 俺が、

「ゲロデムと黒猫とどっちが大事なんだ?」

 星図が、

「そうだよ、それに血がドバーだから。可哀想過ぎて、とても見れたもんじゃないよ」

 烈火が青ざめ、

「わ、分かったのだ。ここは竜破に任せるのだ。仕方がないのだ、あたしは星図と一緒に先に行くのだ。頼んだぞ竜破」

 俺は、

「任せておけ」

 と言って二人が去ったあと、死にかけた黒猫をじっと見つめる。

 よく見ると額に雪の結晶のような白い毛が生えていた。

 俺の背後で少女の澄んだ声が響く。

「ユキニャン! どこに行ったの、ユキニャン? まったく、仕方ないわね」

 もしかしたら、この黒猫の飼い主かもしれない。が、今は会わせるわけにはいかない。やがて、黒猫の破損した身体に緑色に光る走査線が走り、

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