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☆46☆
教室に戻ったサヤが、
「幻魔剣を体内に戻すと眠りの効果が切れるので、そのつもりでいてください」
言いながら剣を胸元に押し込む。
ちょっとしたマジックショーだ。すると、教室で眠りこけていた生徒たちが目覚め、午後の授業のチャイムが、とっくに鳴っている事に気づいて驚き、あわてて授業の準備を始める。
恐らく、全校生徒、教師たちがこんな感じなんだろう。
俺が自分の席に着くと、星図がシアロンを指差している。
見ると、制服の背中の生地が、剥がされたように無くなっていた。つまり、ケツが丸見え、いや、半ケツ状態だった。
俺は親切心から、
「シアロン、お前、背中が」
シアロンが俺をにらみ、
「背中が何だ? 愚民?」
言いながらシアロンが背中を見る。
「ケツが、いや、背中丸見えで、半ケツ状態になっているぞ」
俺は親切心溢れる慈悲深い大司教のような優しい口調で、母親のようにシアロンに諭してやった。
すると、
「痴れ者があああっっっ!!!」
バチコオオ〜〜〜ン!
シアロンの強烈なビンタが、
地獄の少女道化師の液状ムチよりも素早く飛んできた。
俺は机からひっくり返り、
床をもんどり打ってゴロゴロ転げ回った。
シアロンが教室を飛び出し、
しばらく経ってから戻ってきた。
背中を見ると、生地は元通りになっていた。
予備の制服でもあるのか?
と俺が考えていると、シアロンが一人言を呟く。
それを俺は聞き逃さなかった。
シアロンいわく、
「だいぶ溶かされたからな。材料の水分が足りなかったようだ。これからは水分補給をしっかり取るとしよう」
何を言っているのかサッパリ分からなかった。




