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   ☆40☆


 二階には職員室と放送室、保健室。などがあるが、興味なさそうなので、

「三階から五階は1年から三年までの各教室。その上の六階は、美術室、音楽室、視聴覚室、化学実験室、パソコンがいっぱい置いてある情報室。行きたい所はあるか?」

 シアロンが瞳を輝かせながら、

「音楽室に行きたいな。ピアノはあるのか?」

 俺は、

「グランドピアノが一つあったな」

 シアロンが厳かに、

「では案内せよ」

 音楽室に入るとシアロンがピアノを弾き始めた。

 時間がかかりそうなので、俺は化学実験室に行く。

 室内に入るや、とある化学薬品をちょっと借り受ける。

 それが済んでから音楽室に戻ると、シアロンがまだピアノを弾いていた。

 なんとなく物悲しい曲だ。

 俺は扉をノックし、

「お姫さま」

 と呼び掛けるも、ピアノに夢中になっていて気づかない。

 もう一度、同じように呼びかけて、ようやく、

「何だ、まだいたのか。せっかく興が乗ってきたというのに、空気の読めない奴め」

 シアロンが不機嫌に言う。

 俺は、

「続けても構わないぜ。参考までに、なんていう曲なのか、聞きたいところだね」

 怒るか拒否するかと思ったが、

 シアロンがピアノに目を落とし、

「シアロ王国のレクイエムだ」

 俺は、

「そうか。それで何か、悲しげなメロディーだったんだな。しかし、鎮魂歌って、まるで、誰かが死んだみたいじゃないか」

 シアロンが一瞬、俺をにらみつけ、再びピアノに目を落とす。

「愚民どもに貴族の苦しみは分からん」

 と言いながら、レクイエムの最後のフレーズを奏でた。



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