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一月前、北区赤羽、岩渕水門の周辺で奇怪な事件が起きた。
水門は二つあって、
新しく立派な、大きい水門が青水門。
今は使われていない古い水門が赤水門。
事件は赤水門で起きた。
正確には水門の先の小島での出来事だ。
小島は荒川の川辺まで降りて行く事が出来るのだが、釣り人が、そこで女子高生の死体を発見したのだ。
通学途中だったのか、女子高生は制服姿だった。が、全身に引っ掻き傷があり、全裸に近い状態だった。
さらに奇怪なのは、いわゆる生き肝、肝臓が抜き取られていた事だ。
女子高生の自転車が土手側にうち捨ててあったので、河川敷の道路を自転車に乗って通学していた女子高生を何者かが襲い、赤水門の小島まで無理矢理連れ込んで、凶行に及んだと思われる。
マスコミは現代の切り裂きジャックと大騒ぎし、怪奇雑誌の月刊ヌーは水虎の仕業と断定した。
水虎の想像図のイラストまで掲載してある。
ちなみに、水虎というのは中国版のカッパのような妖怪だ。
防犯カメラの映像を見ると、
女子高生が襲われる瞬間は映っているのだが、
その映像はなぜか酷いノイズがあり、犯人の姿がはっきり見えない。ただ、何か、巨大な物が襲いかかっている、としか見えなかった。
赤水門には霊が出る。
という、まことしやかな噂もある。
その昔、赤水門の小島にある大きな巨木で首を吊って自殺する者があとを絶たなかったからだ。
その霊の仕業と言うのだ。
ともかく、もしかしたらゲロデムこと、自称、地獄の少女道化師の仕業の可能性もあるので、
事件から一ヶ月経ち人々の記憶から忘れ去られていても、
俺は人知れず、赤水門に立ち寄っては、異変がないか調べていた。
その夜は、雲一つない良い天気だったので、小型グライダーを繰り出し、荒川上空を水門の辺りから遊覧、いや、偵察飛行していた。
服装は黒いツナギに目元をおおう仮面。
ルパン・スタイルだ。
すると、深夜で真っ暗闇の河川敷をセーラー服の女の子が水門に向かって歩いてきた。




