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☆34☆
「と、いう事があったんだよ。信じる、信じないは、烈火に任せるが。出来れば信じて欲しい」
俺は延々と続いた転生前の出来事を話し終えた。
烈火の反応は、
全身を震わせ、
顔は赤くなったり、青くなったり、目まぐるしく変化している。
烈火が絶望感に満ちた声で、
「あわわわ、と、いう事は、あ、あたしは、た、大変な事をしでかした事になるのだ!」
俺は、
「何か? 問題があったか?」
烈火が、
「問題どころの騒ぎじゃないのだ! あ、あたしは、あたしは人殺しなのだ!」
俺は、
「ど、どういう事だよ? 何で人殺しになるんだよ?」
疑問を口にすると烈火が、
「電車への飛び込み自殺を阻止するため、竜破もろとも突き飛ばして、階段下に落とした事なのだ。
自殺しようとした奴は、その後、改心してメデタシメデタシで終わったのだ。
竜破も意識不明が治ったと思っていたのに、いたの、に」
烈火の瞳に涙が浮かび、
「竜破の魂は天に召され、アルセーヌ・ルパンが代わりに竜破の身体に入ったのだ!
つまり、元の竜破の魂を追い出す原因を作ったあたしは、
竜破を殺したも同然なのだ!」
えっと?
しばし思案したあと、
「ははあ、なるほどね。考えようによっちゃそうなるよな」
烈火が半狂乱で、
「もう、正義感から人助けをするのは止めるのだ! かえって迷惑をかけるだけなのだ! もう二度と余計な真似はしないのだ!」
俺は、
「何だ、そんな事か。それなら大した問題はない。
俺の絶対復元能力があれば、竜破を復元する事も可能だ。
心配しないで、今まで通りやってれば、そのうち竜破の魂に出くわして、マルマル復元してやるさ。
何もしなければ、かえって竜破の魂に出会う可能性が低くなるぞ」
烈火の瞳が輝きを取り戻す。
「本当なのか? 本当に竜破をフクゲン出来るのか? 元に戻せるのか?」
俺は、
「くどいな、俺は天下のアルセーヌ・ルパンだぞ、ルパンに二言はない!」
俺が自信に満ちた、堂々とした態度でそう言うと、
烈火に生来の活気が蘇り、
「よしっ! 竜破を信じるのだ! 竜破とあたしはイチレンタクショウなのだ!」
俺は嘆息し、
「その言い方だと何か、共犯者みたいだけど、まあ、いいか」
竜破が元に戻るかどうかは知らんけど。




