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第三話
〜ルパン転生〜
☆33☆
しばらく暗闇が続いたあと、俺が目を開くと、まず白い天井が目に入った。
左右を見回すと、白い壁に大きな窓。
装飾品の類いはない。
ベッドのまわりをレールカーテンが半分ほどおおっている。
察するに、病院ではないかと思われた。すると、カーテンの影から少女がヒョイと顔を出し、ジーっと俺の顔を覗き込む。
まったく見たことのない、見慣れない異国風の服装をした少女だ。
年齢は十三歳前後か?
少女が聞いた事もない異国語で叫ぶと、部屋から駆け出して行った。
「な、何なんだ? あの女の子は? それに、痛ううっっ!」
鈍器でブン殴られたような衝撃とともに、死ぬほど大量のデータが俺の脳内に襲いかかる。
目眩と吐き気を催しながらも、俺は現状を理解し始める。
まず、さっきの少女が俺に、というか、俺が宿ったこの身体の本来の持ち主に、
『お兄ちゃんが生き返ったあああっ!』
と言って、叫んでいたこと。
それから、彼女が俺の妹であること。それと、頭痛が治ると、この国の言葉が自然と理解出来るようになった。
さらに、俺は備え付けのテーブルの上にある手鏡を手に取り、自分の顔を確認した。
当然、そこに、アルセーヌ・ルパンの顔が有るはずもなく、脳内に一番多く残っているデータ。
この世界の、日本という国に住む平凡な高校生、
有世竜破の顔があった。




