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「奴は年にいくらもらっているんですか? 相当、不満そうな顔をしていましたが」
俺がそうモリスンに問いかけると、モリスンは年に二千万エンほどスコーピオンに与えている。という返事が返ってきた。
大卒の新入社員の平均年収が二百万エンだから、優にその十倍もの金を、何の苦労もしないで手に入れているわけだ。
冗談じゃねえな!
と、俺は心中、ハラワタが煮えくり返る思いで、猛烈に憤った。
俺がラクリスにいとまを告げて帰ろうとすると、ラクリスが玄関の外まで追っかけて来た。
息を切らせるラクリスに向かって俺は、
「どうしたんだいラクリス? そんなに慌てて」
ラクリスが言い淀む。
「あの、今日、お会いしたばかりで、あ、危ない所を助けて頂いたお礼も、まだロクに出来てませんのに、こんな事を言うのは、何ですが」
ラクリスがモジモジする。
俺は彼女が話すのを辛抱強く待った。
ラクリスが俯きながら、
「大変不躾で身勝手な事だという事は承知しているつもりです。が、でも、あえて言います。あの、それが、お祖父様のためにもなると思うんです」
ラクリスが顔を上げ、俺の瞳を真っ直ぐに見つめる。
「どうか、アールさんのお力を、お貸し頂けないでしょうか?」
俺は無論、
「言われるまでもありせんよ。俺は初めっからそのつもりです」
もしも、ラクリスから何も言われなければ、陰ながら助けるつもりでいた。なんにしろ、これで大っぴらに活動する事が出来る。




