プロローグ 閑話休題
今回は明希と環が同居するきっかけのお話です。
コミケ104での頒布予定のプレビューです
「いつから付き合ってるの?」
「やぶからぼうになに?」
ずうずうしくも、七海はボトル片手にあたしの隣に座った。
この店の店主のくせに。
「だって、あんた達、最初はすごい仲悪かったじゃん?」
なにが『じゃん?』だ、若者ぶりおって。
「なに? ヒマなのあたし達のことを聞いて来るとか?」
「ヒマヒマ。見りゃわかるでしょ? 環、あんたしか居ないよ」
わざとらしく狭い店内を見渡すと、七海は質問を繰り返した。
「ねえ、教えてよ。あんた達がどうして付き合い始めたのか」
「やだよ、恥ずかしい」
あたしは、にべもなく断るとグラスを突き出した。
「おかわり」
「ケチ!」
「客に向かってなにその言い草」
「それじゃあお客様、たまにはボトルなど入れて頂けますか?」
七海はわざとらしくウィスキーのボトルを持ち上げると、私に向けて放った。
「うわ、サイアク! 売りもの投げるか? ふつー!」
「フツウッテナンデスカ?」
もはや小学生の口喧嘩だ。
あたしは、投げられたボトルからグラスに酒を注ぐと一口で飲み干した。
「勝手に飲むから、あっち行って!」
「ここは、あたしの店ですぅ」
ったく、タチが悪い酔っ払いだな。
次回は8月3日から毎日更新予定です。