表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モブ系悪役令嬢は人助けに忙しい  作者: 優摘
第六章 悪役令嬢は利用されたくない
118/218

モーガン先生の思惑

 現在のマーリンがディーンとリリー以外の人を寄せ付けないのも、モーガン先生の精神魔術のせいかもしれない。


 (もしかしたらディーンとリリーも精神魔術で操ろうと思ってるか?・・・ううん、二人の魔力はモーガン先生よりも強いはず。だから先生の精神魔術は通用しないはずなんだけど)


 そこまで考えて、少し怖くなった。モーガン先生は一体何者なのだろう?私もトラヴィスねーさんも知らない登場人物。だとしたら・・・


 (闇の組織の幹部?それだったら有り得るかも)


 3部は聖女であるヒロインと、闇の組織との戦いになるって聞いた事がある。


 (だとしてもモーガン先生の狙いは一体何?今までの行動だけで判断すれば、リリーとディーンを私達と引き離そうとしてるように見える。でも、ディーンとは生徒会で会えるわけだし・・・)


 そこで、ふと思い出した。


 ―――お前が目立つからだ。


 イーサンが私に放った言葉。


 (ふ、ふっふっふ・・・)


 思い出して、不思議と笑いが込み上げる。


 (・・・モーガン先生の狙いはマジで私なのか?聖女候補のリリーは私の親友。そして攻略者達・・・ディーンは一応、私の婚約者。皇太子トラヴィスは同志で、クリフ友人でライバルだ。それに何故かイーサンもまとわりついてくる。ふ~ん、マーリンを利用して、私に揺さぶりをかけてるって事?・・・モーガン先生って馬鹿なの?なんてくだらない・・・)


 最初はダンスパーティで、女生徒達からの私への断罪。あの子達だって精神魔術で操られたせいで、とんだとばっちりを受けたのだ。それにノエルにだって、私に告白などと言う恥ずかしい目にあわされた。あれ以来、彼は全く私と顔を合わせようとしない。グローシアだって狙われていた。このままではミリア達や、クリフやクラークだってターゲットにされかねない。


 一番可哀そうなのはマーリンだ。彼女は本来ならヒロインの親友として、もっと楽しい学園生活を送っているはずなんだ。それなのにモーガン先生に利用されて、クラスの皆から避けられて・・・


 (アリアナはねぇ、モブなんだよモブ!皆は優しいから私と友達で居てくれてるだけなんだよ。私が目立つのは、周りが煌びやかなだけで、私が持ってるのは家柄とそこそこ整った容姿と、ガリベンで維持してる成績だけ。要は悪目立ちしてるだけなんだ!私を狙ったところで、何にも無いって言うのに・・・あいつのせいで・・・あいつが私に興味なんか持つから)


 私は怒りの余り、テーブルをバンっと叩いていた。


 「それもこれも上から下まで、ついでに右から左まで、全部、ぜ~んぶ、イーサンのせいだ!」


 「ど、どうされたのですか!?アリアナ様。」


 うっかり感情を声に出してしまい、そんな私に皆は驚いた顔を向ける。


 (あ・・・)


 しまった・・・。


 「すみません・・・ちょっとイーサンの事を思い出してしまいました・・・」


 (ううう・・・恥ずかしい)


 「ライナス・イーサン・ベルフォートですか・・・。確かに、彼の存在は不気味ですね。闇の魔術は光の魔力が無いと対抗できませんし、彼の目的も良く分かりませんし・・・」


 ミリアが腕を組んで、眉間に皺を寄せる。良かった。私の奇行は取り合えず素通りして、いい具合に話が進んでく。


 「アリアナ様に妙に絡んでくるのも気がかりですしねぇ・・・やっぱり闇の組織に指示されてるのではないでしょうか?」


 いや、それは違う。イーサンは闇の組織と関係はあるが、属している訳ではない。嫌な奴だけど、イーサンが嘘をついていない事は分かっていた。彼も闇の組織を嫌っている。厭いながら黙認しているのだ。


 「それは無いと思いますよ。イーサンの能力は闇の組織の手に余ります。あいつは闇の組織に弱み握られて、手を貸してるだけの馬鹿なのです」


 苦々しくそう言うと、皆は呆気に取られた様子で私の方を見つめた。沈黙が続く。


 「な、なんですか?」


 (あれっ?私、そんなに変な事言った?)


 戸惑っていると、ミリアが慌てた様に手を振った。


 「い、いえ・・・アリアナ様がイーサンを普通の人間の様に言うので・・・。彼は伝説級の闇の魔力の持ち主ですから、私などは怖くて仕方ないというか・・・」


 それを聞いて、ジョーが珍しくため息をつきながら気弱そうな声を出す。


「私だってそうよ・・・。前にアリアナ様がさらわれた時一度対峙したじゃない?悔しいけど、ディーン様とクラーク様のシールドに守ってもらうだけで、手も足も出なかったもん。リリーの光魔術が無かったらどうなっていたことか・・・」


 「そんなに凄い奴なのか?」


 訝し気に聞くクリフに、ミリアが両手を広げて首をふった。


 「凄いなんて言葉じゃ言い表せませんわ。あんなの、ほぼ怪物よ。あの魔力の強さときたら・・・あの場に居るだけで、身体が震えて・・・。そう言えばクリフ様はあの時いませんでしたものね。多分、ある程度の能力がある者でしたら、近くにいるだけで分かりますわ。魔力量の圧だけで押しつぶされそうでしたもの」


 「・・・そうなのか」


 そう言えばあの時、クリフは自分の領に戻ってたんだっけ。


 それにしても、やっぱりイーサンの魔力は強いんだ。設定でもゲーム内最大級って書いてたもんなぁ。でも魔力量の圧って何?イーサンとは3回会ったけど、そんなもん感じた事無いぞ。やっぱり私が魔力ゼロだから、感知する能力も無いってことなのかな?


 (どこまいってもモブだな私は、うん)


 そんな風に思っていると、突然クリフとミリアがビクッと身体を震わせ立ち上がった。


 「伏せろっ!」


 クリフが叫びながら、両手を前に出した。と同時にミリアが私を庇う様に抱きついてくる。


 (え?)


 ドガッ!ガガンッ!!


 鈍い爆発音が響き、考える間もなく私達の周りは、突然大きなな炎に包まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ