虐殺シーンでクラシックを流そうとしたら失敗した【1000文字未満】
欧米のどこかにあるキリスト教会。日曜日らしく人が集まり、敬虔に祈りを捧げていた。
しかし突如、そこにヤバい思想を持ったテロリストたちが! 教会を占拠し、信者に銃を向け虐殺を始めようとしている。
「おい」テロリストのボスが部下に命じる。「あれを流せ。異端狩りを盛り上げてやる」
「へい!」
下っ端テロリストがラジオを使う。神に救いを求める信者たちの小声をかき消すように、クラシックが流れ始めた。テロリストたちは今まさに、逃げも隠れもできない人々を殺そうとしてる。
「いやちょっと待て」テロリストのボスがラジオ持ちの下っ端へ振り返る。「なんで怒りの日なんだ。そこは歓喜の歌だろ」
「怒りの歌って何ですか?」
「モーツァルトの作った奴だよ。虐殺するときに流すもんじゃない。ここはもっと、歓喜の歌みたいな、場にそぐわないもののほうがいいんだよ」
「いやクラシックなんて知りませんし。でもいいのがありますよ」
「ほう?」
ボスが注目しているなか、下っ端はスマホから音楽を流す。
「EDMじゃねぇか! いや違うだろ! そういうのは互角の強敵と戦う時の、かっこいい時に使うもんだろ!」
「でも異端狩りってかっこよくありませんか?」
「いや、その、常識的に考えて虐殺はカッコ悪いよ」
その時、教会の扉が爆発で吹き飛ぶ! 煙から現れるはダンディーなナイスガイ。ブランドもののスーツを着用している。
「お、お前はスーツの死神! なぜここに!」
「こんなことで驚くもんじゃないぜ、テロリストのボスさんよ。警察が来ているのだから」
「なに、早すぎる」
「そうだ。オレがスーツパクったときに呼ばれていたぜ」
「お前が通報されているのかよ! 何がスーツの死神だよ!」
「スーツは1日も持たなくてね」
「そういう意味の死神かよ!」
問答の最中、サイレンが鳴る。「お前たちは包囲されている! 諦めて投降しろ!」
「だそうだ」スーツの死神は言う。「お前たちの負けだぞ」
「スーツの死神もそこにいるのか! 逮捕してやる!」
「ここは共闘と行こう、テロリスト諸君」
「いや自分の罪重くするなよ。テロはマズイよ」
警察が教会内に入る。信者たちは拘束が甘かったのですぐ助かった。
「クソ」ボスは毒づく。「こうなれば奴らと戦う!」
「来るぞ!」警察側も叫ぶ。「音楽を流せ!」
~♪ ベートーヴェン 歓喜の歌
「お前たちが流すのかよ!」
空白含めると1000文字超えるけど含めなかったら未満なのでセーフ