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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

パニック関連

一人いなくなるだけで全てが良くなる

「こんなもんか」

 地面でのたうってる、いや、ずたぼろになってる者を見下ろして手をとめる。

 散々に殴打された体は確実に骨が折れている。

 それも一カ所や二カ所ではない。

 だが、それを気にする者はいない。

「じゃ、仕上げに入るぞ」

 その声に、転がる者を囲む者達は静かに返事をした。



 転がってるのは、とある会社にいる女社員。

 パワハラやモラハラの常習犯だった。

 勤続年数の長さから役職はなくても上に立つ立場にいた。

 それを使って勤続年数が浅い者達をいびっていた。



 当然恨みを買う。

 何とかしたいと思う者も出てくる。

 なんなら自分が、と覚悟を決めて腹をくくろうとした者すらいた。

 そうした者達の相談を受けて、女社員の処分を請け負う者達がやってきた。



 世の中、何かにつけ専門家というものがいる。

 相応の対価を支払えば、求めた仕事をしてくれる者が。

 問題のある人間の処理を請け負う者も当然ながらいる。

 そうした者達が仕事を引き受け、女社員という問題の解決がなされた。



「じゃあ、あとはいつも通り」

「はい、お疲れさまでした」

「お疲れさま」

「お疲れさまっす」

 口々に挨拶をしてその場を離れる。

 あとは件の女社員が行方不明になれば作業完了だ。



 これで困る者はいない。

 職場は活気を取り戻し、業績を向上させるだろう。

 その場にいる者達の気分が良くなるからだ。



 気分や気持ち、心というのは様々な影響をもたらす。

 これが落ち着いていれば、頭も体も効率よく動く。

 当然、仕事も効率よく進む。

 業績が上がる、高いところで安定するようにもなる。

 あるいは離職率の低下など、業績にはならない別の要素が好転する事になる。

 たった一人、人間が消えるだけでだ。



 逆に言えば、たった一人が業績などに悪影響を与えてる事になる。

 それがどれほどの損失になる事か。



 まず、下がった業績。

 これによる損失がどれくらいになるだろうか。

 それこそ、人間一人分の人件費くらい落ち込む事もあるだろう。

 それが丸々回復するのだ。



 加えて、問題の人間一人分の人件費を支払わなくて済むようになる。

 あわせて、人間二人分の費用が浮く事になる。

 決して小さな数値ではないだろう。



 逆にいえば、問題のあった女社員がいただけで、毎年これだけの損失があったという事になる。

 毎年の累積損失は馬鹿にならないほどの数値になる。

 今後も放置していたら、この損失は更に拡大していた。



 それを消したのだ。

 会社にとっても大きな福音になる。

 処理業者達にそれなりの金額を支払っても充分にお釣りがくる。



 色々な意味で清算をはたした処理業者は、手にした金を仲間に分けていく。

 その上で声をかけていく。

「忙しくて悪いけど、次の仕事が入った」

 ここのところ連続で仕事が入っている。

 商売繁盛はありがたいが、連続だとやはり疲れも出てくる。

「一旦、休日を入れて、それから取りかかりたい」

 最高の仕事は、最高の体調から。

 そう確信してる処理業者は、仲間にそう言って骨休めを命じた。



「大変な仕事だけど頑張ってほしい。

 お客さんが待ってるから」

 その声に仲間は、「はい!」と笑顔で返事をする。

 誰もがこの仕事の重要性を理解している。

 誰かが助けを求めてるのを知っている。

 だからこそ、誰も逃げたりしない。

 仕事に埃を抱いて取り組んでいる。



 だが、そんな彼らだからこそ、今は休ませる。

 放っておいたら延々と仕事をしてしまう。

 勤労は美徳だが、度が過ぎれば体も心も壊す。

 それでは意味が無い。



「まずはゆっくりしよう。

 仕事はそれからだ。

 いいな?」

「はい!」

 明るく元気な声を処理業者は笑顔で受け止めた。

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