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13:教訓はその記憶の中に

運転室のドアが近づいてきた瞬間、僕は鈴の腕にぶら下がるような体勢を取る


「さん、にー、いち!」


カウントダウンと同時に僕は扉を蹴破り、鈴と共に運転室へと乗り込む

爆音とうっすらとした煙の先には、目的の人物たちがいた


「ビンゴだね」

「ええ。乗務員全員、いるようですよ」

「・・・」


この一瞬でそんなことまで判別するのか

流石と言ったところだろう


「なっ・・・なんで。この時間に起きている人間なんて」

「いるわけない・・・いるわけないんだ。だって影が」

「・・・でも、この人達、夜想様の」


震える声で、一番いい服を着た人が代表して僕らに声をかける

やはり、乗務員は影とグルか

立夏さんの予想も間違ってなさそうなのが憎らしい


「うちの夫と居候が頑張ってくれまして・・・」

「ひっ!」

「逃しませんよ。寝床の提供と・・・それから質問に答えてくれれば、悪いようにはしませんから」

「は、はい・・・」

「あ、下手な動きはしないでね。どこか知らないけど、異常事態が発生したなんて通報されたら困るんだ。ま、その前に」


乗務員の一人が不審な動きをしたので、近づいてそれを破壊しておく

ふむ、緊急を知らせるボタンねぇ。他にも持っていそうな人間がいるかも

鈴が尋問している間は、僕がそれをあぶり出そうかな

やる気はないけれど、それっぽい声音で・・・灯りでそれを光らせる


「僕、誠実じゃない人って大嫌いなんだ。外に連絡とかしたら殺しちゃうかもだし、この列車が何をしているのか証拠込で話しちゃうかも!」

「っ・・・」

「僕らは知っている。君たちの裏にいる夜想も、何もかも。だからこそ、夕霧の秘密を守るためにも・・・ここは僕らに従うべきだと思うんだけどな?」

「・・・わかった」

「うん。じゃあ手始めに身体チェックからしよっか。リモコンの他にも、外部との通信ツールは壊させてもらうね」


鈴が亜空間から大きな風呂敷を取り出し、そこに端末を置くように指示を出す

僕は身体チェックと乗務員から奪った端末をその風呂敷に投げる役

本当は壊さないし、事が済んだら適当な形で返却する予定だ

まあ、まだ彼らには言わないけどね


しかし、やはりというべきか。夜想の名前に反応してきたな

それから、真実を知っている人間がいることに驚きを隠していなかった

超能力関係はこういう部分が存在している。専門職で無い限りは能力を使用したことも、使用されたことも気が付かないのだから当然と言える

ちなみに僕はわからない。そういうの全然だから

野生の勘で感じることはあるけど、特定までは流石に出来やしない

一応言っておくけど、夜想の目的も全然まだ理解していない

・・・まあなんだ。周囲が信じてくれてよかったよ

我ながら、基本的に表情が動かない感じの顔で良かったと思うけど・・・


『聡子、全部知っていたんですか・・・』

『いや、はったり』

『・・・』


騙されてほしくない人も騙しているようだ

いや、この流れで一緒に騙されてほしくないんだけども


「む、それぐらいわかっています」

「・・・」


まあこのポンコツ先代は置いておいて・・・今を考えなければ

このはったりを信じられている今、引っ張り出せることはまだまだある

亜空間に待機している四人も手伝ってくれればいいんだけど・・・

のばらと立夏さんは亜空間待機かな。立夏さんとか夜想の目的の一部を聞いただけでも暴走しそうだし

のばらは人を騙せるような顔できないし


・・・後の二人は能力を使いすぎでは?と思うぐらいに頑張ってたし、もう少し休憩させておきたい部分ではあるよね

ここは僕が頑張らないと


「ま、色々聞きたいことってか、当事者たちから確認したい部分がいくつかあるんだけど」

「ひっ!?」

「とりあえず、夜想とこの影の関係性から説明してもらおうか」

「言うわけがないだろう、侵入者が」

「・・・」


あー・・・これは忠実な部下ですわ

世間様からは重宝されるけど、さっきの言葉を聞いていなかったと見た

周囲も勿論同じ様子。このままじゃ何をしても一緒か


『鈴、後で治癒を頼む』

「は?ちょ、聡子、何をやって」


念話で一言。鈴にそう頼んだ後に僕は目の前にいた男の胸元を軽く掻っ捌いた


「ぐぅっ・・・」

「ひぃ!?」


男は倒れ、周囲にいた人間は小さく悲鳴をあげる

脅しが冗談だと思われていたなら、それを事実とせよ

まずは見せしめ。殺すのは最後・・・だったよね


「言動には気をつけてくれる?今回は見せしめだから急所は外してあげた。次は、首に刺すからね?」

「・・・本気、なのか?」

「さあね。僕の意志や、言葉の真偽を君等に教える理由なんて僕にはない・・・黙秘を行使するよ」


再度、念入りに脅すように首元へ鉤爪を向ける

今度は軽く食い込ませるように。首元から細く血が流れ始めるが気にしない

死なない程度だし、後で治癒してもらえるし


何よりも、実際血が出る光景というのは非日常

それが当たり前でない人たちにとってその光景は恐怖を刻める絶好のものだ

あのクソババアの教えがタメになる日が来るなんて、正直嫌気しかないんだけど

でもまあ、役立つなら何だって使う

例え、これが終わったら後ろの彼女に怒られようとも、だ


「君等が現在進行系で僕らに対して許されている事は、知っていることを語ること・・・抵抗した者は刺す。これから別室に一人ずつ案内するから、抵抗せずに聞かれたことをきちんと答えてね?」


あくまで理性的に。どんな時も感情は見せるな

それでもまだ抵抗の意思を見せるものに対して、最後の念押しを忘れるな

お母さんが教えてくれた「仕事の心構え」は今の僕に大いに役立っている


「ああ。そうそう。僕が持っている情報と相違が見られた場合・・・ランダムに選抜した人間に聴取を行った後に、嘘を吐いた人間を全員の目の前で拷問の後に殺害する。それだけは理解していてね。じゃ、お兄さんから行こうか」

「ひっ・・・は、はい!」


若干どころか表情が完全に消え失せた鈴を残して、僕らは運転室の奥にある従業員用の仮眠室へと足を踏み入れる


『尋問は僕が。鈴は周囲の監視を』

『了解です・・・もう、貴方という人は、色々と無茶をする』

『こういう生き方を教えられたもので』


すれ違いざまに表情の割にはあまり怒っていなかった鈴と念話で語りつつ、僕は仕事に取り掛かっていった

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