7:目先の小さな問題は
「ちょっと待て鈴。スカートの下!どういうことだ!?」
「ど、どうしたの!?」
その光景に動揺してしまった俺はそのまま鈴を引き寄せて、いつもどおり膝の上に座らせる
鈴も目を回して、何が起こったか理解が追いついていなかった
俺は何度も深呼吸して冷静さを取り戻し、落ち着きつつ鈴に見たことを話した
「まず先に見たことは謝る。俺、目を逸らしているから、スカートをたくし上げて太腿を確認してみてくれるか」
「別に、見ていてもいいよ?」
「そりゃそうだけどさ・・」
「もう全部見せた仲でしょう?」
「この一年で恥が消えたな鈴・・・・」
「恥ずかしがっている方が好き?」
「両方好き。恥ずかしがってる鈴も、積極的な鈴も」
「そっか」
鈴はスカートの裾をゆっくりと持ち上げつつ、鈴は耳まで真っ赤にして上目遣いに俺を見あげてくる
焦らすように、慎重に、ゆっくりと・・・
「鈴、なぜそんな風に焦らす。見てるこっちが落ち着かない」
「恥ずかしいけど、こういうのは夏彦が好きだからって参考人が言っていたから」
「おい、誰だ参考人って」
「ハンドルネームは「甥っ子」・・・参考書もいくつか借りて勉強したよ?」
いや、鈴の甥っ子ってもう覚しかいないじゃないか
余計な知識を与えて・・・なんてことをしてくれるんだ。嬉しいけど!
「よし鈴。夕霧峡の話は横に置いて、今から家族会議だ。あの男から伝えられた俺の歪んだ性癖とエロほ・・・ゲフン、参考書とやらの話を聞かせてくれ。いや、聞かせろ」
「夏彦。わかったし、謝るから落ち着いて・・・目が笑ってない。前より死んでる」
鈴に宥められつつ、彼女を抱きしめて話を続ける
そして参考書の話と覚から聞かされたらしい俺の話を鈴はゆっくりと自白してくれた
「・・・・と、いうわけです」
「うん。ロリと年上熟女好きとか、小から中くらいの大きさが好きだとか、身長差は大きい方がいいとか、焦らされるのが好きとか誤解だらけだが、案外間違ってないな」
「間違ってないの!?」
「一つを除いて」
「その、一つは・・・」
「焦らし好きだが」
「他はあってるんだ・・・でも結構焦らされるの好きそうだったように見えるけど」
「気のせいだ」
「・・・そういうことにしておいてあげる」
一応、一つは反論を述べておかないといけないからな。全部合っているのは悔しい
覚に性癖把握されてるのは本当に悔しい
しかし、なぜ鈴は見てわかるほど落ち込んでいるのだろうか
まさか・・・気がついていないのか?
「鈴、俺に教えてくれた言葉は覚の奴が言った通りなんだよな」
「うん。全く、そのまま・・・」
「一つ一つ解いていこうか。まず、中学生ぐらいの女の子か年上な熟女好きという部分だが・・・」
「真顔で言わないでよ・・・」
「すまない。仕様だ。これさ、なんで「か」で処理したんだ?それに覚だぞ。しっかりからかう気でいるからあえて伏せている部分もあるだろうし・・・」
「「か」?伏せる?」
率直な疑問をぶつける
鈴は首を傾げるが、俺はそのまま続けていく
「中学生ぐらいの女の子「の姿」「で」年上でなおかつ熟女「みたいな子」・・・そんな条件の人は一人しかいない。まあ、今は普通の大人の女性らしく身体は成長しているけれど」
「・・・・まさか」
「次に、小から中ぐらいの大きさ。身長差は大きい方が好き!そんな好条件が揃った女性って一人しかいないだろう?」
「まさか、まさか!」
鈴も気がついたようで、若干興奮気味に続きを催促する
気がつかれている状態で続きをいうのは照れくさいが、続きをのべたら鈴はきっと喜んでくれるだろう
「俺の好みは鈴しかいない。こんな特殊な立ち位置にいる女性が、鈴以外に何人もいてたまるもんか」
「夏彦・・・!」
「鈴!」
彼女の小さい体がさらに俺に抱きついてきてくれる
それをしっかり受け止めて、彼女の名前を呼んだ
「夏彦―・・・私幸せ。超幸せ。全力イチャイチャバカ夫婦と呼ばれても今なら寛容的な態度を取れると思う」
「鈴―・・・俺、やっぱり鈴と一緒にいられて幸せだ。全速ラブラブアホ夫婦と呼ばれても、今は誰も蹴らない自信があるほどだ」
・・・まあ、鈴に誤解を与えた覚にはちゃんと仕置きをしてやらないとな
腕の中で幸せそうに顔を緩ませる鈴の肩越しに、覚への復讐を考えながら列車が動くひと時を賑やかに俺たちは過ごした
・・
しばらくして、俺と鈴は脱線する前にしていた話の続きをしていた
「太ももはどうだった?」
「・・・太もも、鱗でびっしり」
俺が見た鈴の変化は、太ももに出た龍の鱗
竜胆の力が強化された影響かもしれないが・・・なかなかに大問題だった
俺みたいにズボンであれば隠し通せるが、今日の鈴は膝より少し上のスカートだ
それに、準備中に傍目で見ていたのだが・・・今回の服の殆どがその系統
ちょっと動けば、少し見えてしまうかもしれない。先程のように
「・・・私の趣味じゃないから太ももが露出する服は持っていないけど、もし短パンとかしかなかったら大変なことになってたよ」
「だな・・・スカートで隠せそうか?」
「うん。それに、重い生地のスカートばかりだから風の影響で見えることもなさそう。けど、見られたりしたら心配だから夕霧峡に着いたら、下に履くズボン買っていい?」
「ああ。もちろんだ。列車内の売店にも・・・売店!」
「わ、どうしたの?」
「この列車、少し特殊で夜想号オリジナルパジャマの販売をしているんだ。若い子向けの短パンスタイルもあるみたいだから、一時的にやり過ごせないだろうか?」
・・・チラ見した観光雑誌の中に書いてあったことを言うと、鈴は少しだけ安心したように胸を撫で下ろした
「よかった。買えそうな商品があるんだね。今もないよりある方がいいと思うし、買いに行こうか。記念にもなるし」
「ああ。そうしよう」
「そういえば、夏彦パジャマ持ってきてる?」
「いや、今日は普段着でやり過ごそうか・・・と」
「こんなこともあろうかと、オカメ持ってきてるけど」
鈴は旅行鞄の中からすっ・・・とそれを取り出す
なんて言うことだ。オカメパジャマじゃないか
まさか旅行中もあれを着せられるなんて・・・自宅じゃないんだぞ鈴
列車内はともかく・・・
「なしでお願いする」
「なんで!?私も持ってきたのに!」
ちなみに鈴用と思わしき、セキセイパジャマも横から覗いている。旅行先でも鳥になれというのか鈴よ
「まあこれは冗談だよ」
「冗談、なのか・・・なんか良かった」
よかった。冗談か・・・
予備とか言いつつも・・・さり気なく席に設置されたし今晩は着せられそうだな
「でもなんでオカメ嫌なの?好きでしょ?」
「・・・」
いや、一度も好きとは言ったことがないんだが。恥ずかしいからできれば回避したい一品なんだが・・・
けど、好きだと誤解されているし・・・嫌いだって言ったら鈴を悲しませるだろうし、あえて俺は嘘を吐き続ける
「鈴は、俺がいつでもどこでもオカメのままでいいのか?」
「それは、どういう」
「・・・旅館の醍醐味といえば、館内着・・・浴衣じゃないか?いいのか?オカメでそれを見る機会を失って。俺は嫌だぞ」
「はっーーーーー!」
「・・・鈴は、いいんだな。俺が終始オカメでいいんだな?」
「よくない。浴衣みたい。オカメは今日以外封印」
「今日は着せられるんだな・・・」
今日は逃げられないけど、それ以外はきちんとオカメは回避できるらしい
心の中でガッツポーズをしつつ、鞄から何かを取り出そうとしている鈴の様子を伺う
「でもね、一応昼にパジャマ買っておいたんだ。私とお揃いだよ」
「へえ、いいなこれ」
「でも今日は絶対オカメね。明日以降は浴衣とこれで交互にしてね」
「わ、わかった・・・」
鈴は服屋の袋から、袋に梱包されているパジャマを二着取り出す
彼女の髪の色と同じく青緑色の、爽やかでシンプルなデザインのパジャマが二つ
違う部分はサイズだけみたいだな・・・
「そのパジャマのズボンはどうなんだ?」
「残念ながら長ズボン。だから結局買いに行かなきゃ。余計な出費かも・・・」
「気にするな。列車オリジナルだぞ?旅の思い出も兼ねていていいじゃないか。ほら、そろそろ行こうか」
「そうだね。皆待ってるだろうし」
話は長くなったが、そろそろ立夏さんたちと合流しよう
客室を出て、配布されていた鍵を使って扉を閉める
古めかしいが、こういう部分はハイテクなんだよなぁ・・・
それと一緒に置いてあった夜想号の設備の紹介をした冊子も持って、俺達は四人が待つラウンジへ移動していった




