表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/8

5 自分と私達の共通点

結華はめっちゃポジティブな子です。

その反対で瑠唯は結構ネガティブなほうかな~。



このヒロインは私と違うように見えて少し同じところがある。藍姉に言われた瑠唯くんの隣に違う女子がいたらどう思うかってこのことなんだ。

台本に影響されてしまっているのかもしれない。でも


「結華、読み終わった……ってなんで泣いてるの!?」


泣いてる?私が?自分が泣いてるという事実が信じられなくて自分の頬に手を伸ばす。すると頬は濡れていた。ああ、私は本当に泣いていたんだ。でも、どうして?


「大丈夫!?どうかしたの?」


遥に大丈夫と答えながらなんで泣いているのか、自分の心に問いかける。でもいつまでたってもその答えはでなくて。そうして時間は過ぎていく。そして遥が何か思いついたようで私に話しかけてくる。


「『速く行動しないと相川さんに彩坂くん取られちゃうよ。人の気持ちは変わるものだから。彩坂くんが他の誰かを好きになったときに後悔しても遅いんだよ。中村先輩には申し訳ないけど、でも先輩もわかってたじゃん。…あんまり深く考えないで自分の思ったままに行動してみなよ』。結華は先輩とどうなりたいか、自分の出生について知ってからずっと悩んでたんだよね。でもこの台本を読んで自分の気持ちがわかったんじゃないの?ほら、口に出してみな。今は信じられなくても口に出してみたら意外とストンって落ちてくるものだよ?」


それを聞いて私は部屋にあるティッシュ箱から一枚とり、涙を拭いて言う。


「私は、瑠唯くんが好き。きっと瑠唯くんと出会った1年前から」


そう言うと遥は笑顔になって私に抱き着いてきた。


「うん、私達からしても結華はそう思ってるんだろうなってこと知ってた。やっと自分の気持ちに気づけたね。経緯はどうであれ、自分の気持ちに気づけたことはいいことだよ」


そう言う遥の声は少しかすれてて少し泣いてるんだと気づいた。でもそれを私に気づかせないように私の頭をぐしゃぐしゃに撫でる。


「もー!止めてよー!」

「やだよ!いつも自分の気持ちに気が付かない結華が自分で気づいたんだよ!そんなの嬉しいに決まってるじゃんか!」

「遥は私のお母さんか!」


そう突っ込んで2人で笑う。その後、落ち着いてから台本の読み合わせをした。読めば読むほど自分に重ねることが出来て私は主演をやりたいと思うようになった。1週間後のオーディションで絶対に主役を勝ち取る。オーディションは男子と2人組になって柊翔の告白のシーンから帰り際の柊翔のセリフのところまで。これらのシーンでは梨衣はそこまで重要なセリフがない。でも言動一つ一つが採点につながる。まずは男役の人を見つけなきゃいけないけれどでも絶対に主演を勝ち取る。それで自信をつけて瑠唯くんに今度は私から告白する。そう遥に伝えたら大賛成してくれた。課題は沢山あるけれど頑張らなくちゃね。




*********************




柊翔役をお願いしたのは同じクラスの演劇部、尾崎瑛斗(おざきえいと)くん。とりあえず相手は決まったら私達はその日から練習を始めることにした。ペアを決めてそれを申請した順で場所が振り分けられる。私達に振り分けられたのは理科実験室。他の教室と違って机が複雑な形をしているから少し動きづらい。けど外部活の練習声が聞こえないからとても静かだ。その分得したって考えよう。

まず2人でオーディションの部分の台本のイメージをすり合わせる。解釈が違うところが結構あってそこはお互いが納得するまで話し合った。そうしていると下校時間になってしまった。演技の練習はできなかったけどまあいいとしよう。そう今日を振り返っていると尾崎くんから親交を深めるためにちょっと寄り道していかないかと誘われた。それもそうだし特に断る理由がないので一緒にファミレスに行くことにした。

ファミレスでもイメージをすり合わせていたらすっかり日が暮れてしまっていた。暗くなってきたから尾崎くんが家にまで送ってくれるって言うからお言葉に甘えることにした。尾崎くんと話しながら帰っていると尾崎くんが何かに気づいて指さした。私は気になって指さした方を見ると綺麗な女の人と歩いてる瑠唯くんがいた。


「なぁ、あれって1つ上の瑠唯先輩じゃね?」

「あ、ああうん。そうだね」

「挨拶した方がいいよな。行こうぜ」

「あ!待って!ダメ!」


その声は思ったより大きな声が出てしまって周りの人に注目された。瑠唯くんもこっちに気づいている。尾崎くんは周りに聞こえないように耳元で話し出す。


「おい、どうしたんだよ。いきなり大きな声出して」

「な、なんでもないの。先輩彼女さんと一緒に居るみたいだから邪魔しちゃいけなくない?」

「え?あ、マジだ。…そうだな。とりあえずここから離れようぜ。なんか注目されてるみたいだから」


そう言って尾崎くんは私の手を引っ張ってその場を後にする。ちらっと瑠唯くんの方を見てみると何か言ってるように見えた。


尾崎くんに送ってもらったお礼を言ってから別れる。家に帰って夕飯を食べてお風呂に入る。いつも通りのナイトルーティンをこなしてベットに潜る。そうすると浮かんでくるのは瑠唯くんとあの女の人はどんな関係なんだろうという疑問。………………………あの人、綺麗だったなぁ。1つ下でいつまでも子供っぽい私と違ってお似合いだったなぁ…。藍姉が言っていたことが現実に起きてしまったことが悲しい。告白されたときに返事をしていたら、そうでなくても昨日気づいた時点で電話でもなんででも返事をしていれば。そうタラレバを繰り返しながら小さな声で泣いた。




*********************



今日、結華を見かけた。結華は一緒に居た男と何か話していた。耳に手を当てて、本当に親しそうだった。もしかしたら結華はあの男が好きなんだろうか。俺の告白に対してすぐ返事してくれなかたのはそういうことか?でもあの時はいろいろな事実を聞いた後だったから…どうなんだろうか。

と言うかあの時俺はバイト先の同僚(女性)と一緒に居た。結華は何かショックを受けていたような気がした。いや、自意識過剰か。でも、結華に告白しておいて他の女性と一緒に居るのってなんか不誠実な感じがあるかもしれない。年上のしてのプライドは散々になったなこれ。

今回も拙い作品を読んで下さりありがとうございます!








面白かったよ、なんだかんだで続きが読みたいなどなど思って下さった方はブックマーク、評価して下さると嬉しいです!作者の励みになります(´∀`*)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ