1 動き出した恋の歯車
はい、新連載、見切り発車ですね。一応書き溜めしてるんですけど…無事に完結できるのだろうかという不安と戦ってます。
でも絶対に完結させる!目指せ、ハッピーエンド!
「藍。藍、結華、奏良は俺達夫婦の本当の子どもじゃない」
月宮結華、17歳すごいことを聞いたかもしれません。
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「ねぇ!どうしよ!」
藍姉と両親の話を聞いてしまった次の日、私は高校の先輩、佐東瑠唯くんに会いに瑠唯くんとよく会う公園に来ていた。瑠唯くんは私の隣に座って話し始める。
「昨日から何?深夜にいきなり連絡してきて今日会う約束取り付けて。そのくせ俺のこと見た瞬間に『どうしよ!』ってなんだか全くわかんないんだけど」
そ、それは悪いと思ってるよ。深夜1時位にいきなり連絡するのは非常識すぎるってわかってるけどさ…。
「だって!…瑠唯くんちょっと耳貸して」
そう言うと少し近づいてきた。私は彼の耳を両手で包んで
「私ってお父さんとお母さんの本当の子どもじゃないんだって」
と言った。少し離れて瑠唯くんの方を顔を見ると、彼は驚きを隠せない様子で私を見ていた。その後「マジで?」と聞いてきたから頷いて返事をする。
「昨日、藍姉の20歳の誕生日だったの。私、変な時間に起きちゃって。水飲もうと思ってリビングに言ったらその話してて。本当はそのことをお母さんたちに聞けたらいいんだと思うけど…昨日は頭が真っ白になっちゃって。今朝も少しそっけない態度とっちゃった…私、どうしたらいいの?」
「結華、ちょっと落ち着いて。ほら、お茶のんで」
そう言って渡されたお茶を飲んで落ち着こうとする。私達は何を言っていいのかわからなくなってお互いに黙り込んでしまった。
「……………俺の両親は本当の両親だから。結華の今の気持ちはわからない。でも、ちゃんとご両親と話した方がいいと思う」
わかってはいる。わかってはいるんだけど…。私はうつむいて考え込む。
「じゃあ、瑠唯くん。ついて来て。…私一人じゃ受け止められる自信がない…」
「いや、俺は関係ないじゃん!」
「だめ?」
上目遣いを意識して懇願する。瑠唯くんはこれに弱い。私は知ってるんだぞ。もう一度「だめ?」と言うと渋々と「っ…わかったよ」と了承してくれた。
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その話をしてから一週間後。私の両親、私と瑠唯くんの4人が私の家に集まった。お姉ちゃんと奏良は出かけている。
「それで?今日はなんの話なんだ?まさか妊娠とは言わないよな」
「そうじゃなくて…」
ちゃんと話し合うって決めた。大丈夫。私は息を吸って一気に話し出す。
「先週、藍姉と話してる話聞いちゃった。私がお母さんたちの子どもじゃないって本当なの…?」
そう言った途端、二人が息をのむ音が聞こえた。そして「嘘を言うんじゃない」ってたしなめられたけど私は絶対にそう聞いた。そう主張すると二人はあきらめたようでお父さんがゆっくりと話し始めた。
「お前が俺達の子どもではないことは確かだ」
「じゃあ、私は誰の子どもなの?」
「結華の本当の両親は…父さんの弟夫婦だ」
お父さんの弟夫婦ってことは…。
「つまり、お前からすれば俺は伯父、母さんは伯母という立場になる」
そこからお父さん、お母さんの過去の話が始まった。お父さんが不妊症で、お母さんが妊娠できなくはないけど難しい体質なこと。藍姉と奏良は特別養子縁組で迎えた子だということ。私の本当の両親は私が小さい頃に事故で他界していたこと。引き取り手がおらず児童養護施設に入っていたかもしれないこと。このことは私が成人してから話そうと思っていたこと。
当たり前だけど、全部初めて聞く話ばかり。これを聞いて私はどうするの?
……私は―――――――
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話を聞いたあと、私は今まで叔父夫婦と聞かされていた本当の両親のお墓参りに来ていた。1人になりたいと思ったから来たけど。瑠唯くんは何故かついてきている。
「ねぇ、なんでついてきてるの?」
「そりゃあ心配だからに決まってんだろ?可愛い後輩は先輩に迷惑かけていいんだぞ?」
「そんなの知らない」
そう言って再び沈黙する。本当の両親のお墓は丁寧に掃除されていて造花も飾ってあった。これはお母さんたちがやってくれてたんだろうな……。
新しい水を持ってきて改めてお墓を掃除する。何か一つのことに集中したかったから無言で黙々と作業をしていた。このままずっと続けばいいのに。
でも時間は過ぎて行くわけで。黙々と作業をしていたから尚更早く掃除か終わってしまった。そして私はお墓の前で手を合わせる。
(久しぶり。二人は叔父さんと叔母さんじゃなくてパパとママだったんだね。知らなかったなぁ。…………私、これからも頑張るから。パパとママに大丈夫だって思われるくらい頑張るから。だからパパとママは天国から見守っていてね。大好きだよ。……………また来るね)
それだけ伝えて自分が出したものを片づけて墓地を後にした。そして家に帰ろうと思ったら瑠唯くんに腕をつかまれて大学生の瑠唯くんが親戚に激安で借りて一人暮らしをしているワンルームマンション部屋に連れてこられた。
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「な、何!?なんでここに連れてこられたの!?」
「公園でも良かったのかもしれないけど…さすがに公衆の面前で泣きたくないだろ?」
「泣く?なんで?」
そう言って首をかしげると瑠唯くんは呆れたように息を吐いて
「だって、結華のその顔、どう見ても泣くのを我慢してるようにしか見えない」
ふわりと抱きしめられる。瑠唯くんの腕の中は暖かくて、安心する。
ああ、そっか。自分では気づいてなかったけど、いきなり両親のことを知って気が張ってたんだ。それで悲しいんだ。
自覚した瞬間、涙が込み上げてきた。私は瑠唯くんにしがみついて泣いた――――――――――
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