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チャームの意味が違いますよ

 久我の精霊獣は、当然の様にクマだった。


「やっぱクマかぁ。クマー……」

「クマじゃないだす。精霊獣だす」

「クマーッ」

「精霊獣だす」


 サルが出てしまった亜美奈も、久我の気持ちは少し解るため、みんなの視線を逸らして上げることにしたして、バッグから出した杖とクッションをテーブルに積み上げた。


「外れた人は、杖を二本とクッションを三個ずつね」

「早い者勝ち?」

「コピーすればいくらでも増やせるから、慌てなくても大丈夫だよ」


 フワフワもちもちなクッションは、男女共に人気なのだ。そしてもちもちヌイグルミも、密かに男女共に人気があった。

 性別など気にせず、好きな物は好きと、大きな声で言えば良いのに、何故か可愛い物は好きと言い難そうな男子たちだった。


「じゃあ、そろそろ帰ろうか?」


 なんて、誰かが言った時。亜美奈の背後に、大きな音と共に何かが落っこちて来た。もうここまで来ると、見なくても分かる。


「リオル、また落ちたです?」

「いやっ、今日のは落ちたんじゃ無くて、踏み外しただけだからっ」

「それも、落ちたって言うですよ」


『神の手』の運命の相手は、落ちて来ると以前聞いた。けれどこうちょくちょくだと、言い伝えの【落ちて来る】とは違うような気がしてくるから不思議だ。

 ついでに、誰の側に落ちているのかも判りづらい。アンジェが相手な気がしてたが、アンジェは何も言わないし、亜美奈も黙っておくことにする。


「それより、今日は何しに来たです?」


 コソッと、桃子が亜美奈の耳元に囁く。


「アンジェってリオルには冷たいわよね。ツンデレって、こう言うのかしら?」

「デレて無いから、まだ違うかな?」

「成程。これからデレるのね」


 人は暇だと、俗物的な話題を好む様になるのかも知れない。いや桃子の場合は、高校生らしいと言って上げたほうが良さそうだが。桃子のイメージと合わな無さすぎて、何と返せば良いのか分からない。


「先日貰った絵の、島の方の奴。試作が出来たから持って来たんだよ」

「見たいっ、どんなのなのっ?」

「コレだよ」


 言ってリオルは、バッグから島を取り出した。島、多分、島を。

 島を型どった浮いている何かの下に、紐が結んであるソレは、お祭りで売ってる、風船の様に見えなくも無かった。


「それが島です?」

「いや、ここで大きくするわけに行かないから」

「何だそれ。子供に配るやつか?」

「だったらもっと、可愛いのにするだろう?」

「そうよね、クマとか」

「結局クマかよ」


 皆が集まって来て、好き勝手言う。もう、興味津々だ。


「コレは、島型のチャームなんだ。試作なんで、部屋も少ないし大した機能も無いけど、ミニ遊園地を設置したり、ショッピングモールとか言うのを作ったりして、娯楽を提供するのに使える様にして欲しいと、聖王様が決めたんだよ」

「それなら俺オレッ、俺達にくれよ」

「そう言えば、人形劇のスキルを持ってるって」


 いつだったか、話していたのを覚えてる。


「あれから練習して、人形だけでパレードが出来るようになったんだぜ」

「設置する遊具と合わせれば、テーマパークにもなりそうね」

「良く分からんけど、楽しそうだな。一度聖王様と、打ち合わせる必要が有りそうだ」

「聖王様より、その周りに居る人間族達に、の間違いです。あの人達、いつも暇です。娯楽が必要なのです」


 あの人達とは、天使のパートナーとして城に暮らしている人達の事。特に仕事がある訳でなく、何処にも行く事が出来ないため、何時も暇そうにお茶を飲んてお喋りしているらしい。

 一部、言葉を覚えて翻訳をしたり、元々の趣味を楽しんでいる者も居るらしいが、それも限度が有るから、遊園地が出来ればさぞ喜ぶ事だろう。


「良いアトラクションが出来ると良いね」

「それが出来たら、いよいよ私達の番よね」

「うん。これから気温が上がって行くから、涼しい所に遊びに行きたいしね」


 夏はまだ先だが、五月になれば一気に気温は上がる。日本の春は、意外と足が早いのだ。


「あぁ、ソレはちょっと、直ぐには無理かも知れないな」

「ええっ、何でです 私達が頼んだ島です」


 いや、頼んだのは亜美奈であって、アンジェは不思議そうに見ていただけのはずだが?

 どうもアンジェは、自分中心で考えるきらいが有る。いずれ天使の中でも高位の役に就くらしいのに、これで大丈夫なのだろうかと時々心配になる。

 赤ちゃん扱いがいつまで続くのか、上に立つ自覚は突然湧いて出る物なのか。いずれ他の天使に聞いてみようと、亜美奈は考える。


「亜美奈達の城を作った班が、ノリノリで計画してるんだ。ラプタだの天空城だの言って、収集が付かなくなってるんで」

「あ、なんか分かる。絶対に実現出来ないと思ってた物を、自分達で造れるかも知れないとなると、やっぱり盛り上がるよね」

「かもしれないけど、程々にして欲しいわね」

「物凄い城が乗った島が出来たら、目も当てられないです」


 大きな乗り物に乗って、ちょっと旅行のつもりが、とんでもないファンタジー物件になりそうだ。


「私は島の中に部屋にする空間を作って貰えれば、それで良かったのに」

「内装は後でゆっくり、自分達で作りたいわよね」


 暇潰しにもなるし。コッソリ続けた桃子に、亜美奈もシッカリ同意する。


「一応伝えては置くけど、何しろ暇持て余している人達だから、当てにしないでくれよ」


 暇持て余してると、ナニするか分からないのは、亜美奈達が暮らしているこの城で分かってる。けれどヤッパリ、程々にして欲しい。






つづく

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