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モチモチ~

 当然だが、屋台は大盛況だった。娯楽の少ないこの世界で、雰囲気だけでも祭りを楽しむことが出来たのが良かったのだ。

 途中、カレールーを取りに来た天使やそのパートナーが、いつの間にか混ざっていたりもしたが。それはそれで楽しい邂逅だったと言える。


「では、本日の大本命を始めるです」


 これも亜美奈が作っておいた屋台に、六つの卵を並べる。


「一人ずつ順番に、卵に触って。その卵が手に吸い付いて来たら、当たりだから」

『そんなのより、ワタシが教えてあげるなの』

「サ、サクラってば、勝手に出て来ちゃ駄目じゃない」


 サクラがバッグから出てくると、皆嬉しそうに集まって来る。可愛い物は、みんな大好きなのだ。ただ全員が卵を貰える訳じゃ無いから、自慢になりそうで出し辛くて仕舞って置いた亜美奈だった。

 それは桃子も同じ様で、今もミカンはバッグの中で大人しくしている。


「モフモフも良いけど、モチモチも気持ち良くて良いわぁ」

「喋らなくて良いから、こういうヌイグルミ欲しいよね」

「クッションでも良い」

「いや、むしろクッションの方が…… 」


 好き勝手言いながら、みんなサクラを触りまくる。触られるのは嫌いでは無いのか、それとも褒められるのが嬉しいのか、サクラはされるまま大人しくしている。

 サクラなら嫌がりそうな気がしてたが、満更でも無い様なので、部屋に戻ったら自分も触りまくろうと思う亜美奈だ。


 ソレはともかく。


「どうする? サクラに指名して貰って、サッと終わらせる? それとも、」

「ボクは、一人ずつに一票」

「私も~。ゲームみたいで~、楽しそうだし~」


 サクラに目をやると、興味なさそうに手近な椅子に腰掛けた。

 人間サイズの椅子は、サクラには大き過ぎるのだが、身軽なサクラはヒョイッとジャンプをしただけで、簡単に座れてしまう。


「じゃあ、チョット行って取ってくるから、桃子とアンジェで、先に始めておいて」

「取って来るって、杖ならバッグに仕舞ってあるでしょ?」


 変身できる杖は、男子用と女子用。他にも色々造って昨日のうちにバッグに仕舞ってある。取りに行くのはそれでは無く。


「モチモチのクッションが欲しいって言うから、取りに行こうと思って」

「有るの?」

「すでに出来てる物だけだから、色やデザインのリクエストは無しね」


 元の部屋にあった物を思い出して作った為、恐らくみんなもどこかで見たような印象を受けることになるだろう。


「工房まで行ってくるから、サクラはココに居て」

「オヤツはアイスクリームが良いの」

「はいはい。アイスクリームね」


 バニラアイスをテーブルに置き、スプーンをにぎらせてあげる。聖霊獣は、どこか天使と似たところが有り、甘い物が大好きなのだ。ご飯を食べている間、バッグの中で大人しくしてくれていたのだから、オヤツはサービスだ。


「私は、」

「じゃあ、行ってくるね」


 何か言いかけたアンジェを無視して、近くの扉に飛び込んだ。

 さっきさんざん食べておいて、更に、それもサクラに便乗してデザートの追加は無い。

 普段なら、可愛いから上げちゃうところだが、さすがに今日の食べっぷりを見た後で、追加は上げられない。そう思うくらいの量を、アンジェは食べ尽くしたのだから。






 クッションを持ってみんなの所へ戻ってみると、何やら可笑しな雰囲気だった。


「お帰りなさい。卵は配り終えたよ」


 心菜と真鈴も卵に選ばれたようで、嬉しそうに卵を抱え手を振ってきた。

 他の四つの内、三つは各グループの女子に一つずつ渡り、残る一つは、どうも久我の手に渡ったらしかった。精霊獣と言うのは、女子が好きなようだが男女の区別もしないらしい。。

 そして残る一つを引き当てた、当の久我はと言えば、地面に跪き、天に向けて一心に祈りを捧げていた。


「何か有ったの?」


 尋常じゃ無い祈りを捧げている久我を、視線だけで示し、近くに居た真鈴に聞いた。


「なんかね、クマが出て欲しくないって言って、頑張ってるんだよ」

「クマにトラウマでも有るのかな?」

「そうじゃなくって?。子供にクマって呼ばれてるから、クマ連れて歩くのが、怖いんだって」

「ああっ。久我だから【クマ】なのかぁ。子供は、アダ名付けるの好きだよね」


 単に舌が回らず、久我と言えて無いだけかもしれないが。とにかく、久我としては突然付けられたニックネームに馴れず、更にからかわれそうな状況を作りたくは無いのだろう。


「あっ、ヒビ割れて来たっ」


 あちら此方で、ワクワクを隠せ無い声が上がる。

 そんな中で久我一人が、キョトンと卵を眺めていた。


「久我くん、卵は抱えて無いと産まれないんだよ」

「そ、そうか……」


 慌てて抱えた久我の卵も、少し待つと小さなヒビが入って来た。


「多分クマだね」

「うん、クマだと思う」

「クマだよね」


 そう言う心菜と真鈴の精霊獣は、家で飼っていたと言う猫だった。以前写真で見せてもらった猫に、柄も少し似ているように見えた。


「ミー太だっ」

「ボクはにゃにゃ子!」


 皆それぞれに名前を付け、大切に抱き込んている。

 精霊獣は縁のある生き物の姿になる様で、他の皆も家で飼っていた動物ソックリになっているらしい。なので名前も、ペットそのままだ。






                  つづく

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