↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/100

卵 玉子 たまご~?

 卵?


「卵だわ」

「卵です」

「何で卵?」


 作っていたのは、確かにぬいぐるみだった筈だ。頭を作って、胴体と手足も作った記憶もちゃんと有る。

 なのに出来上がりが卵。卵の殻を、作った記憶は無いにも関わらず、卵が出来た。


「これで、精霊を付与するですね」


 一番に気を取り直したのは、アンジェだった。

 アンジェは意外と、不可思議な事に耐性が有るのだ。


「うん、付与してみるね」


 そう口にした途端。まだ成長してない、光でしかない精霊が現れた。

 まるで、自分を付与して欲しいと言いたげに、卵の周りを飛び回る。


「じゃあ、行くよ。ギブンッ」


 付与の魔術を施すと、精霊は吸収されるように卵に消えて行き、フンワリ三回光ると落ち着いた。


「これで、中からぬいぐるみが出て来るのね」

「そう言えば、こんなの向こうにも無かった?」


 喋るぬいぐるみや、可愛いドール。どんな人形が出て来るか分からない、ワクワクするオモチャだ。


「「確か、サプライズトイ」」


 珍しく、桃子と声が揃ったせいで笑いが上がる。

 少しずつでも気が合って来たようで、何だか嬉しい。


「でもこれ、どうやって開けるんだろう?」

「ぬいぐるみだし、破って開けるんじゃ無いのかしら」

「勝手に破れて、中から出て来るのも無かったっけ?」

「ぬいぐるみなのに、です?」

「中に動力が入っていて、ある程度は自動で動けるの」

「動力、ですか?」


 この世界に機械は無いため、どうやって説明しようか考えていた亜美奈は、ふと腕時計が目に入った。

 時計も普通に、動力で動いているじゃないか。これならきっと、理解して貰えるかも知れない。


「この時計も、動力で動いてるよ。動力の元は水晶。水晶の振動で、中の部品を動かしてるの。

 サプライズトイの中に有るぬいぐるみを動かすのは、この世界には無い動力だけど」

「そうですか。では、この中のぬいぐるみを動かす動力は、精霊何ですね」


 多分、そういう事になるのだろう。生き物を動力と言ってしまうのは、気が引けるが。


「どうやら、直ぐには出て来ないようだし、後の二つも作ってしまおうか」


 そして三人で、生まれて来るのを待てば良い。

 再び道具を出して、作業を始める。

 ぬいぐるみの道具は、手足をひっくり返す時に便利な棒だけれど、作業の時には使わない。

 ひっくり返すのは、コビトがやってくれるのだ。他のスキルでも有ることなので、気にしないで置こうと亜美奈思う。


「はい、三人分出来たよ」

「わ~い、お揃いのぬいぐるみです」


 三つ並んだ出来立てのぬいぐるみに、いの一番に手を伸ばしたのは、アンジェだった。

 卵の中から、どんなぬいぐるみが出て来るか、楽しみで仕方ないと言った感じで、真ん中に有る卵に手を伸ばした。

 すると。


「えっ、何でです?」


 卵が逃げる。触れられる事を、拒むように。アンジェを拒否するかのように、逃げ回る。


「私の事を嫌いです?」


 誰より一番楽しみにしていたアンジェだから、その悲しみは深く、そこまでショックかと言ってしまいそうな勢いで泣き始めた。

 けれど、亜美奈の手も拒否されるのを見て、目を丸くした。


「もしかすると、持ち主を選ぶのかも知れないわ」


 桃子は言って、やはり卵に拒否される様子を見せてくれた。

 けれど別の卵に手を近付けると、吸い付くように桃子の手に近付いて行った。


「ねっ?」

「本当だ」


 成る程と亜美奈も、桃子のまねをして卵に手をかざして見た。

 初めに触れようとした物はやはり駄目だったが、もう一つの卵は桃子の時と同じように、亜美奈の手に吸い付いて来た。

 最後の一つこそ、自分の卵だろうと手を伸ばすアンジェだった。亜美奈と桃子も、微笑ましくそれを見つめていたのだが。何と言う事だろう、アンジェの物になるはずの、最後の一つがアンジェの手を拒絶したのだ。






つづく

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。