どうやって開けるの?
「これがアイテム?」
このダンジョンでは、食べ物の入手は出来ず、総てアイテムが出るとアンジェは言っていた。
当然、亜美奈が作ったダンジョンの様に、プカプカ浮いて出るのだと思っていた。もちろん、浮いてはいるのだが。
「ガチャガチャのカプセルみたいね」
「どうやって開けるんだろ、これ?」
そのカプセルには、つなぎ目が見当たらなかった。
「亜美奈、中身は何が入ってるの?」
「えーと、ねえ…… 糸と布? それから、精霊石だと思う。多分これ、さっき倒したトカゲの精霊石じゃないかな?」
見た目は緑色の、エメラルドのようなキレイな宝石だ。鑑定して初めて、それが精霊石だと分かる。
「なら、倒しても殺しちゃうわけじゃ無いのね」
「これも、保護の一種です?」
「アンジェは、何も聞いて無いの?」
「はい、説明の中には無かったです」
何でもかんでも教えて貰うより、自分達で発見した方が良いと言うのも、きっと有る。
「このダンジョンでは、私達も死なないんだから、モンスターも同じ条件何じゃ無い?」
確か、ヒットポイントのような物が有って、ゼロになったら入口に戻るのだ。
モンスターにレベルや経験値は、きっと無いに違い無いが。ヒットポイントがゼロになったら、精霊石に戻るとか有りそうだ。
「開け方は出てからって事にして、先に進もうよ」
亜美奈の提案に、二人が同意し再び歩き出す。
入って直ぐのためか、モンスターはそれ程多くは無く、三人は次々モンスターを倒して行った。
殺す訳で無いなら、遠慮する事は無い。ファイヤーにファイヤーボール、もちろん、武器も使う。
アンジェの武器はレイピアと言う片手剣の為、少し心配したが、意外なほど軽やかな身のこなしは、思わず見惚れてしまうほどだった。
「いよいよ、ボス戦ね」
ダンジョンフロアの一番奥、現れたのは人型の精霊だった。
色は緑。
木の葉のような翼を持つ、明らかに草属性の男の子だ。いや、草と言うよりも植物全般。つまりは緑属性と言うのが、合っているかも知れない。
「倒したら、あの子が仲間になるんだね」
「でも、誰か一人だけです」
「ボス戦が終わったら、直ぐに上に戻って、三人分揃うまでやり直せばいいわ」
時間はたっぷり有るのだから、好きなように挑戦すれば良いのだ。
さっさと先に進むも良し、同じ所を何度も繰り返すも良し。
経験値稼ぎは、結構好きだった亜美奈だから、現実でも同じ所を何度だって繰り返せる。
戦い方に慣れる為にも、何度も繰り返す方が良い。
「じゃあ、いっきまーすっ!!」
「「おーっ!」」
三人、揃って武器を構える。
亜美奈はボーガン、桃子が二刀短剣で、アンジェはレイピアだ。
アンジェはそれなりの腕は有る。桃子だって今日一日でちょっとは強くなった。だから武器の一撃だけで、軽く倒せると思った。
「嘘っ、弾かれた?」
それだけじゃ無い、傷の一つも付いて無い。威嚇代わりの攻撃だから、傷が付かない程度は問題無いはずなのに。なぜ、こんなに不安になる?
「近寄れないです」
さすがは人型精霊。すばしっこさが能力高すぎて、どうする事も出来ない。
「どうしよう。何か、方法は無いかしら?」
「何か……」
そう言えば、初めてこの城に来た日に、アンジェは何か言っていたはず。
確か、……そう、確か、
「必殺技が使える様になる、って」
言ってた気がする。いや、確かにそう言っていた。
だからと言って、直ぐに必殺技など思い浮かばないし、必殺技なら必ず倒せると決まったわけじゃ無い。
けれど、他に名案が有るわけで無く。何でも良いから、それらしい技を組み上げてみた。
先ずは、ボーガンの矢にファイヤーの魔法を込めて作る。
「ファイヤーアロー!」
精霊の右羽根を、燃える矢が射抜く。
「チャンスですっ!」
すかさず構えたアンジェの 剣に、亜美奈はファイヤーを付与してみた。
赤く燃え上がった剣が、緑の精霊を薙ぐと、一際大きなカプセルが現れた。
「大きいです」
「うん、大きいわね」
一抱えは有る大きなカプセルは、中身も豪華で、亜美奈が欲しかった縫いぐるみの材料が、纏めて入っていた。
それから、髪飾りと精霊石が、なんと三人分入っていたのだ。
「三人分、入ってるね」
「入ってるです」
「私は何もして無かったんだけど」
「ここまで来る途中、皆で頑張ったんだし、そこまで厳密でなくて良いんじゃ無い?」
桃子は気になるようだけれど、余り細かく考え過ぎても、疲れるばかりだ。
それに亜美奈としては、早く工房に行って縫いぐるみに取り掛かりたい。
「カプセルの開け方も気になるし、一旦戻らない?」
桃子は少しだけ悩むような素振りを見せた後、肩を竦めて同意を示した。
「実は私も、カプセルの開け方は気になっていたのよね」
「私もです」
もちろん、亜美奈もだ。
つづく




