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「にゃにゃっ!」


首輪を付けて数分後、私はとんでもないことに気づいた。

このまま人間になれば首輪が肌にのめり込んで窒息してしまうかも知れない。

大慌てで王子か従者を探すが、元の場所には居らず、仕方なく猫の姿のまま校内に入る。

今の時間なら教室か生徒会室にいるのかも。

なんせ、王子はその身分から生徒長なのだ。

多分お飾りだけど。

不思議そうに見つめる生徒たちの間を潜り抜け、教室を覗いたが、王子も従者もいない。

次は生徒会室と思っていたが、生徒会室は豪華に飾られた厚い扉に阻まれていた。

カリカリとドアを引っ掻いて音を鳴らすが、どうやら聞こえないらしい。

ならば…


「みゃぁぉん!ぅみゃぁあおん!」


とびっきりの甘い声を出すとすぐにドアが開く。


「良く来たね、さぁ、中に入って。」


まるで待ち侘びたかのような甘い顔をした王子自らがドアを開けて向かい入れる。

まるでお姫様扱いね。

私が人間だった頃はゴミみたいな扱いだったのに!

プリプリしながら歩いていると、いきなり生徒会の誰かから顔を近づけられ、私はピョンと後ろへと飛んだ。


「かっわいー!!」


王子と熱愛中の男爵令嬢が空気を読まず、そのまま私に触れようと手を伸ばす。

私は恐怖で動けなくなり、固まっていたところ、見兼ねた王子が私を抱きかかえた。


「すまないが、私以外には懐いてないんだ。勝手に触らないで欲しい。」


王子が男爵令嬢にピシャリと言うと、自分の机の横に置いていたチェストの上に私を下ろした。

婚約者の私が言うのもなんだけど…


「にゃぁー?(恋人なのにそんな冷たい言い方していいの?)」

「すぐ終わらせるから少し待っていてくれ。」

「にゃー。(全然わかってない。)」


王子は私の頭を撫でると仕事を再開する。

しょうがないかと、如何にも私が来るのを待ってましたと用意されていたクッションの上で私も丸くなった。

カサカサと書類の擦れる音がする度、私の耳はピクピクと反応する。

なんかすごく気になるの。

ピョンと机の上に乗るとスンスンと紙の匂いを嗅ぐ。


「どうしたんだ?」


甘い声で語りかけてくる王子を無視して肉球で紙を確認すると、おもむろに用紙のど真ん中で香箱座りをする。

よし!

なんとなくの使命感から王子の邪魔をしたくてたまらない。


「か、可愛いぃいい!そんなに構って欲しかったのかぁ!!」


王子が私の横っ腹に顔を埋め、ひたすらもふもふしている。


「にゃっ!!」


びっくりした私は王子の頭に猫パンチを三発ほどお見舞いするが、王子はびくともせず、もふもふを続行している。

激怒した私は王子の頭に手をかけ、猫キックを数発お見舞いして何とか離れることに成功した。

美しく整った顔をしたはずの王子は顔面を猫の毛だらけにして、不気味に笑っている。

かなりドン引きした私は机から降りる際、わざと紅茶の入ったティーカップをひっくり返して従者の元へと逃げていった。


「にゃー(あいつ、怖い。)」


王子がぐちゃぐちゃにした毛並みを整え、気持ちを落ち着かせると、王子に見せつけるように尻尾を立てて、従者の脚にスリスリと身体を擦り付けた。


「変態には近寄ってはいけませんよ。」

「みゃー(話が分かる。)」


従者に抱き抱えられ、膝の上に置かれる。


「速攻で終わらせますから。」

「にゃお(そうして。)」


はっきり言って、従者のお膝は最高だった。

何かあるたび、従者は私の優しく撫でてくれる。

やっぱりこいつもやばい。

すっかり身も心も猫になってしまった私はいつの間にかお腹を出してころころと従者の膝の上を堪能していた。

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