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「にゃー!」


私は学園内を走り抜けていた。

なんでも学園の有志が住み着いた野良猫を保護するべく動いたのだ。

何人も大きな身体の男から追いかけられ、心の中は泣き出したいくらいに怖かった。

人の姿ならば軽くあしらうことができるのに、猫になると途端に怖がりになる。

私は知っている人を見つけるとその人の胸の中へと勢いよく飛び込んだ。


「フーフーッ!」


興奮したまま、胸に飛び込んだその人に訴えかける。


「よしよし…怖かったな。」


王子は私の正体を知りながら、普通の猫のように私の背中を撫でた。


「殿下!」

「これは私の猫なのだ。すまないが、そっとしていてくれないか?」


王子がそう言うと私を追ってきた男子生徒達は謝罪してすぐに帰っていく。


「にゃー(時には役に立つわね。)」


王子に労いの言葉をかけると、王子はまた私のことをぎゅっと抱きしめてきた。


「にゃぁ!(そこまでは許してない!)」


前足を突っ張り、体を反らせて王子の腕から逃げる。


「うにゃ、うにゃう、にゃぁ、にゃお!(だいたい私は淑女なのよ?節度は守ってよ!)」

「可愛いなぁ…」


全然わかってない!


「にゃお!(ポンコツ!)」


猫になると怖がりになると同時に幼く、わがままになるようで、思ったことを強く発言できるようになった。

でもまあ、このポンコツ王子にものを言えるようになったのは良いことかもしれない。

人間の姿では近寄りもしないくせにと更に悪態をついて、私はその場を去っていった。


数日後、いつものベンチにフカフカのクッションが置かれていた。

誰が用意したのかはすぐに分かったが、猫の好奇心がクッションへと引き寄せられる。

特にクッションに囲いがあるところがとても良い。

肉球でふにっとクッションを踏むと、フカフカとした柔らかさに我慢ができず、両足でふにふにとクッションをまた踏みしめる。

何度か足踏みしてクッションの安全を確認した後、囲いの中に入ってコロリと転がった。

何度か転がるとクッションが自分の体にフィットしてとても満足だ。


「気に入ったか?」


王子ポンコツの声に我に返り、姿勢を正す。


「にゃーん!(変態!)」

「そうか、気に入ったか…」

「ぅにゃむ。(全然伝わってない!)」


そうかそうか、と王子はにやけ顔で背中をさすってくる。

従者に習ったのか、前よりも撫で方は悪くない。


「うにゃ!(まだまだだけどね!)」

「あぁ、そうだ!いいものがあるんだ!」


王子はそうやっておもむろに宝石の付いたブレスレットらしき物をポケットから取り出した。


「付けてやろう。」


そう言って王子が私の首に腕を回した。

猫になってから光り物が好きになったので嬉しいけれど、それにしてもとても高そうなものだ。

そして、私の首に回した彼の腕に同じデザインのものがぶらさがっている。


「うん、可愛い。にあってる。」

「ぅにゃ。」


凄く微妙。

人間の姿でそんなこと一度も言われたことないんだけれど。


「これでみんな君は僕のものってわかるな。」


確かにプレートに王家の紋様が付いている。

奇しくも結婚時に頂く紋様を関係が悪化している今つけるのは非常に不愉快である。

しかし、平和な猫生活、略して猫活には必要だ。


「ふふ…お揃いなんだ。」

「にゃむ。(最悪。)」


尻尾をパタパタさせて嫌がる私に彼は頬ずりする。

首輪代に少しは我慢するが、すぐにすり抜けた。

王子の隣で従者が嫉妬に塗れた物凄い顔でこちらを見ている。

それを無視しつつまた気ままに去っていく。

めんどくさいのは嫌い。

だって、私、猫だもの。

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