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ダンマリが続くと気まずさも続く。

猫の時はお互いに言いたいことを好きなだけ言っているのに、人間同士になったとたん話すことが無くなってしまう。

王子は何か考えて目も合わないし、私は沈黙を埋めようと考えようにも変なことしか考えられない。

最近どうですかと聞けば、猫の私を追いかけ回しているから分かっているし、あの女の子をどうですか、は地雷だし、単刀直入に何の用ですかとでも聞くべきか…

こういう時こそ猫になりたい。

人間のままだと居辛いし、王子も私が猫の方が話しやすいのかも知れない。


ポン。


とりあえず猫の姿になって、かしこまったように丸まる。

横目に見る王子は一瞬驚いた顔をして、少し困った顔をしていた。

何よ、お望みの姿になってあげてるのにさ!

ギロリと睨みつけてやったつもりが、王子は私の脇を抱えて持ち上げる。

最初からそうしていればいいのよ。

みーんな、人間の私なんて要らない、猫の私だけを必要としているんでしょ。

耳を横にして尻尾を横に振り、睨みつけている私を王子は折りたたむように自分の腕の中に囲った。


「みゃお(なんだ、ポンコツ)」


王子は気持ちを落ち着かせたいのか、私の背中を何度も撫でる。

早く言ってよ、と苛々していると王子はゆっくりと口を開いた。


「ずっと…嫌な思いをさせてすまない…」


ずっと気づいて欲しかった言葉なのに全然嬉しくなかった。

そんな軽い言葉で今までのことが流れてしまう訳ではない。

王子が積極的に悪いことをした訳じゃないが、周りは違う。

王子が私に興味のない様子や蔑ろにした分だけ、いやそれ以上に膨らませて周りの人間は酷い言葉を浴びせてきた。

そんな心ない言葉に負けないようにと表情も心も固く凍らせ、一人で頑張って立ってきた。

だから言葉一つで絆されるような人間ではもうないのだ。


「…噂は根拠のないものだ。あの者とは生徒会以外に関わりはないが…」


私を抱きしめる王子の腕がギュッと強くなる。

苦しいの嫌ー!


「もっと大切にするべきだったんだ…君を…」


一方的に言われるのも嫌ー!

ムカムカするの。


ポン


「嘘つき!あの子の前でニヤニヤしてた癖に!」


人間の姿に戻って、猫のように幼稚な言葉で王子を罵倒する。

一度出てしまった言葉はしょうがない。

王子の膝に乗ってしまった腰を退かし、小走りで逃げてしまったのはきっと猫の感覚が抜けないせい。

きっと全部猫のせい!

感想に返信できずにすみません

完結まで少々お待ち下さい

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