7.1 原価と売価
今回のおまけは原価と売価についてです。
簿記に関してかとも考えましたがそのあたりは使う人はきちんとした教本で学べますし使わない人には意味が薄いので無しかなぁ……と。
まぁ、大福帳についてですが江戸時代の簿記みたいなものと思ってください。
今の記録は『全体』の仕入れと売り上げをまとめてますが江戸時代は掛け売り(ものだけを先に渡して年末にまとめて集金。尚、除夜の鐘を過ぎて新年になったら翌年の年末まで支払いが延びていたらしい)が基本で店と個人が1対1の帳面で、内容もどれだけ渡したか集金の有無くらいのものだったようです(現代で言ったら簿記というより帳簿のついた手形に近いのかな?)。
ここでは1番(休憩所)は客をひとまとめにして店と客1対1、2番は商業ギルドと店の1対1(取引相手が1つだけしかないため)の帳面ですね。
本来の大福帳とは違いますが簿記より近いので大福帳と記載してあります。
原価と売価についてですが、業種によってまちまちです。
たとえば主人公の実家、卸商は売価=原価9割+利益1割、その分多くの取引先に多くの商品を販売する多売薄利方式で利益を出しています。
ディスカウントショップなんかも原価・利益は似たようなもので多売薄利で利益を上げています。
その中でも多くの利益を上げられるのがPB商品です。
自社製造なので造ったものをそのまま販売という商売で卸を介さないため一番利益のあげられる形をとっています。
なので、他社の商品とほぼ同じ中身・内容量であっても少し安くして提供、それでも利益幅が(他の商品より)大きいという強みを作り出しています。
スーパーなんかも卸てそのまま流す商品は利益幅が小さく1~2割。
セールものは赤字で販売して客を集めて、一緒に買って帰るそれ以外のもので黒字を出すなんてこともあります、これも薄利多売ですね。
その代わりに生鮮品・惣菜類では大きな利益幅を持たせています。
イ○ンの惣菜だとおそらく原価3.5割、多店舗分まとめて仕入れて単価を落としたり精肉・鮮魚コーナーから消費期限が当日までのものを移動伝票等を考えると3割ほどになるのではないでしょうか。
精肉・鮮魚も平均原価5割前後をキープしているはずです。
理由は『人件費が多くかかる』『どうしてもロスや値引きが発生する』が主な理由になると思われます。
原価だけなら1000円で作ったものを3000円で売って利益2000円と思いがちですがそれを作るのに1000円のバイトが30分かかるのであれば人件費の経費は+500円、売り上げが悪く作ったものの半分を半額で処分してしまったなら3000円出るはずの売り上げは実際には2250円と目減り幅がとても大きいためです。
飲食店では優良店が3.5割、普通の店舗で2.5~3割、飲み屋で2~3割(3割は優良店舗)です。
ちなみに、現在ブームを起こしているタピオカ(500~600円)はでんぷんの塊なので1杯あたりの原価は数円程度。
ドリンクや容器含めても50~70円程度でしょうか。
*あくまで目安です。
因みにチェーン店は該当しません。
仕入れや製造方法が店舗により違い、算出は難しいです。
それでも大量生産をベースに利益率の高い仕入れや配送を行っていると思われます。(チェーン店に関してはバイトの人に聞いてもあまり詳しく知らないみたいなんですよね)
飲食店の原価が低い理由も人件費が別にかかるからです。
また、店舗の土地代もかかります。
なので、地価の高い場所だと原価2割を割る店も……。
原価を気にしているとどこにも行けなくなるので、外で食べる際は原価なんて気にせずに好きなものおいしいものを選ぶことをお勧めします。
そんなこと考えてたら100円の回転ずし(しかも特定のネタのみ)くらいしか行けなくなると思いますので。