08話〜工場見学❶〜
青白い光が金属の机や機械に反射するその部屋には、金属でできた足のようなものや、胴体、眼鏡のようなものなど、色んなものが置いてあった。
「君たちは工場見学に来た高校生かな?」
白衣を着たおじさんが俺らに問いかけてきた。
「はい!」青木はハキハキと返事をした。
「なるほどね…君たちはここがどんなものを作っているのか知っているのかな?」
「えぇもちろん。人間と機械の融合!ヒューマロイド計画。人を超える人間を作り上げることが目的。ですよね?」
「あぁそうだ。もしかして君は遠足の前に楽しみで眠れなくなるタイプかな?ヒューマロイドは、あまり公にしていないはずだけどね。」
苦笑を浮かべる研究員。
「あぁそうなんですか。けど俺ここに来るの楽しみで仕方がなくて、色々調べたんです!」
「その期待を裏切らないように、我々も頑張らなくてはね。」
青木と研究員の話はハイテンポすぎて、青木以外の3人には全くついていけなかった。
ヒューマロイドは、
人間に取り付けるパターンと
人間が着るパターンと2つあるそうで、
取り付ける方は、簡単に言うならば、義手義足の強化版。
着る方は、スーパーヒーローのスーツのようなものらしい。
今現在作られているものは、腕 脚 腰 太もも
の4部分だそうだ。
「質問いいですか?」
珍しく詩が、質問をし始めた。
「なんで、頭…頭脳の部分がないんですか?機械取り付けて頭が良くなれば、みんなが嬉しがると思うんですけど…」
「たしかに脳の部分は開発しようとしたさ。
けれどね、脳は複雑すぎるんだ。それに脳に機械を入れたら、それは完璧なロボットだろう?努力も、個性も、全て1つになってしまう。それは勿体無いじゃないか。好きな人を見て気持ちが高鳴ったり、夢を見て笑ったり、いわゆる人間らしさがなくなってしまうだろう?それは私が許さないさ。」研究員のおじさんは、
“俺たち”から聞いたらとてもいい話をしてくれた。
けれど詩からしたら相当悲しい話のはずだ。
なぜなら、機械なのだから。
「私が許さない ですか…もしかしてここのリーダーですか?」堀さんが口を開いた。
「おぉ。そこに気がついたか!珍しいよな?」
おじさんが周りの研究員に目を合わせる。すると周りの研究員は、頷き始めた。
「私はね、Re:playの社長をさせてもらってる、高木だ。」
社長、高木さんはメガネを光らせながらそう言葉を放った