05話〜デート❷〜
傷口からは濃く青い液体が滲み出ている。幸い傷は深くなさそうだ。しかし「血液の色」の違いというものは、人間かどうかを一瞬で見分けられる特徴になるのでなんとしても隠さないとならない。
「少しかがんで傷を隠してくれ。」
俺は急いだカバンを下ろし、チャックを滑らせるように開けた。出発する前に入れた‘紅色に染められた手ぬぐい’。これで傷口を押さえて、青さを誤魔化す事はできないだろうか。
迷う所はあったが、さっき詩に言った言葉を嘘にしたくはない。急いで手ぬぐいとガーゼで傷を押さえる。
「あれ?青くない?」「何が?」
周りの女性が友人と話し始めた。
「澄野くん。どうしよう…」
詩は不安そうな表情を顔に浮かべる。今にも泣き出しそうだ。
「安心しろ。平気だよ。」
とっさに出てきた言葉がベタすぎる発言だったことが恥ずかしいが、声をかけることはできた。
「あの…平気ですか?」
先ほどの女性がこちらはやってきた。
心臓の鼓動がどんどん高鳴る。
「あら!真っ赤じゃないですか!大丈夫ですか?」
心の中では全力ガッツポーズだ。
「あ…あの……」詩は緊張して何も話せない。
「大丈夫そうです。今から少し早く帰ろうと思います。」
「心配してくださってありがとうございます。」詩も軽くフォローを入れて、ささっとその場を離れることにした。
「あぁ、私もああいう恋をしたいなぁ!」
女性の心からの叫びは、詩を妙に意識してしまうきっかけだったのかもしれない。
「本当に助かったよ。ありがとう」
「いや平気だぞ。緊張はしたけどな。」
何もない商店街を歩きながら会話していると、自然と笑顔になる。
さっきの叫びのせいで、「恋」を意識してしまっている。
平気だ。常に平常心を保つんだ!
自分に毎分これを言い聞かせながら、初のデートを、すごい早いスピードで駆け抜けた。
期末テストだったんです。
すみません。
これからまた走り出します!