4話〜デート❶〜
あまりの急な展開(俺が作ったのだが)に慌ててしまって、学校へ戻って午後の授業もかなり恥ずかしかった。
「澄野君、電話番号教えてよ。」
授業を全て終え、ホームルームが終わってクラスの皆が帰り始めた時、唐突に聞かれた。
「あ、あ、、わかった。」
変に意識しすぎなのだろうか。いや、男なら仕方がない。
「ん?私変なこと言ったかな?」
と、詩は首をかしげる。そして追加で「いつ遊園地に行くの?」と聞いてきたのでまず俺たちは電話番号を交換した。そのあとは、帰りながら考えることにした。お互い暇な今週の日曜ということに決定しだところで分かれ道で別れ、家へとそれぞれ帰った。
家に帰ってから鏡をよく見ると俺の顔は赤くなっている。
あのカミングアウトをされた時。迷ったことがあった。『機械』として彼女を見るべきなのか、『人間』として彼女を見るべきなのか。
あの仕草。あの声。あの見た目。
やはり「人間では無い。」と考えるのが難しい。
俺は彼女を人間として見ると決めた。
いいや違う。『見る』とも違う。
人間として受け取るという言い方のほうが良い。
そんなことを考えながら眠りについた。
そして詩と話しながら日にちが経過し、とうとう日曜日になった。朝から色々準備した。スマホ、タオル、時計、財布、先に取ったチケット2枚、怪我した時の絆創膏、あとは…念のためコレも。
駅で待ち合わせして3駅先の割と大きい街に着いた。そこの遊園地は、絶叫系やら、ホラー系やら、子供系やら、アクション系やら、なんでも揃っていて、人気のある遊園地だ。幸いチケットは空いていたのでギリギリ入れた。
「まずどこへ行く?」詩が目を輝かせながら問いかけてくる。
「行きたいところでいいぞ。」
「じゃあ…こっち!」
詩が左手で俺の右手を掴んで引っ張ってくる。
「あんまり急ぐと転ぶぞ!」
「平気だって!」
と、行って連れてきたのは、ガイドマップに「恐怖度MAX」と書かれたお化け屋敷だった。
「え?ここ?」一発目からこれですか詩さん…
「うん。ここ楽しそうじゃん!」そうですか詩さん…
二人で幕をくぐり恐怖の世界へ入り込む。
結局は詩がビビりすぎて泣きながら腰が抜けてしまったので、お化け役のスタッフに助けてもらいながら脱出するという謎の展開になった。
「もう行かない…絶対来ない…」
「そりゃそうだろ。恐怖度MAXだぞ。」
「先に言ってよ!」
「知らなかったのかよ!」
お化け屋敷は怖いと言うのでゴーカートでレースをすることにした。俺はよくこれに乗っているので負けるはずがないのだけど、詩が謎すぎる才能を発揮して、ぶっちぎってゴールした。
次にジェットコースター。
スピードが園内1というジェットコースターは時速120km出るという。最早速さがわからない。
登ってる途中で詩が半泣きになって隣で、「怖い」と連呼しながら俺の手をぎゅっと握ってきた。けれど下って行くうちに、「怖い」から、「楽しい!これ良い!」という声に変わって、4回も乗る羽目になった。
そのあとは
流石に二人とも疲れたので昼食をとることにした。
俺は園内販売のハンバーガーセット。
詩は女子らしくクレープを食べた。
しかし途中で鳥が詩の方へ猛烈な勢いで飛んできて、クレープを盗もうとした。なんとか叩いてクレープを守ることができたが、爪や羽がバサバサと当たったからか、腕に傷が入り、青い血が出てしまっている。
「澄野君…」
辺りには大勢の人がいる。
「大丈夫。絶対なんとかしてやる。」
とっさに出たその言葉は、
『少しでも詩を安心させたかったための言葉』
それ以上でもそれ未満でも無い。