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機械にも見える夢を君に。  作者: 冬木 冷音
3/10

03話〜食事〜

気まぐれ投稿ですので…基本的には土日どちらか1つがいいのですが、前回はインフルで休みました笑笑

高い金属音が俺の世界に響き渡る。

その音は目の前の俺の世界をかき消し、現実世界へと意識を浮上させる。何とも例えられない感覚。その感覚を目一杯に感じ、布団から抜け出す。夢はいまいち思い出せない。見ていたかどうかもわからない。

視界の霞んだ目を軽くこすり焦点を合わせる。時計は8を指していた。

学校は7時半に家に出て8時に僕らの通う高校に着かなければ8時5分の予鈴に間に合わない。


そして今8時。確定で遅刻だ。


昨日の夜、詩と話して帰ったのは1時を回った頃だった。朝食を食べる暇はない。一つの夫婦に向かって手を合わせ、鍵を持ち家を出る。


走っていってももう間に合わない。歩いて行こう。誕生日に祖父にもらった時計が8時半を指す頃に学校に着いた。学校に着いて“2の2”と書かれたクタクタの看板を横に教室に入る。

「どうした澄野。珍しく遅刻だぞ。」

丸メガネが特徴的な吉田先生に声をかけられる。

「すんません。ただの寝坊です」


クラスを軽く見渡す。

詩は相変わらず窓から外を見ている。何度見ても人間としか見えない。冬の乾燥した風が細い髪をさらって行く。


「澄野!珍しく遅いじゃーん。どうした?彼女と一線超えたか?」

お調子者で幼馴染の青木が彼なりの挨拶をしてくる。

「あのな?俺に彼女はいないし超える相手もいないんだよ!」

“彼女がいない”って宣言するのは少し恥ずかしいけどまぁいいだろう。色々な誤解を招くよりは少ないダメージな筈だ。


4時限目が終わり、うとうとしながら昼食の時間になる。

ドアのふちから手がひょっこりと顔を出していてこちらを呼んでいる。

「澄野くん。一緒に食べよ?」

笑顔で…少し恥ずかしいのか耳を赤らめる詩がそこにはいた。

たまたま青木はいなかった。青木がいたらやたら聞かれるんだろう。

「あぁ。食べようか。」


漫画のように屋上で食べることは許されていないが、高校の外へ行くことは1時間だけ許されているので、近くのファミレスへ行くことにした。

「私はハンバーグで!」「俺はミックスグリルで」


熱々の肉を頬張りながら向かい合って食べる。

とても恥ずかしいけれど楽しい。

「ふみのく…んっては?ふひなほいふ?」

「全く聞き取れないぞ…」


熱すぎてまともに喋れてない詩。

「澄野くんって、好きな子いる?」

「へ?…急になんでだよ?」

「私は少ししかわからないんだよね…みんなから聞いたことしか。」

好きな子がいないと言ったら嘘になるけど。「いない」と答えた。そして詩は恋愛を知らないのだ。「好き」になることを。

「恋愛したことないのか?」と念のため聞く。

「うん」と即答えた。

もう間も無くハンバーグはなくなる。

「私わからないからさ。こうして食事をするのもほぼ初めてよー!」

「そうなのか。楽しいか?」

「うん!」元気に笑顔で答える詩は哀しい笑みを浮かべた。

「じゃあさ、今度俺と遊園地へ行かないか?」

嬉しい笑みを浮かべたい事を考えてたが、気づいたらただのデートの誘いになってしまった。


「いいの?!行こう行こう!」




はじめての女子との食事は一生色濃く残るデート誘い付きの食事になった。

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