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機械にも見える夢を君に。  作者: 冬木 冷音
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0章〜運命の始まり〜

授業中に考えた学生の妄想を画面の前のあなたに。


「私さ、『生きる』とか『死ぬ』とか、そんなのが感じられないんだよね。」


何を話したらいいか分からない重く気まずい空気を高梨(うた)の声が切り裂いた。

一体なぜ俺にそれを話すのだろう。詩とはあまり話したことがないし、急に22時の古びた公園に呼び出されると、変な妄想なんて出来ないくらい怪しく思える。急に「好き」とか言われたらとても嬉しいけれど、まさかの人生相談だとは思わなかった。


「なんでだよ。『生きる』は此処にいること。『死ぬ』は此処にいないことだろ。」


平然を装って当たり前のことを哲学のように話してみる。錆びついたブランコに乗る詩は、鎖をキィキィ鳴らしながら夜空に瞬く星々を軽く見上げている。


「確かにそれはそうだよ。今私はここに居るし、澄野(すみの)君だってここに居る。それは確かなことだよ。けどさ、生きてるのと、死ぬのって何が違うのかな。幽霊がいればここに居るのは変わらない。今の私が私じゃなかったら。作られた別のコピーだったら!それは『生きてる』のかな…」

声が少しずつ大きくなっていく。けれど夜の草木の緑たちが、声を吸い込んでいくように消えてゆく。

「幽霊なんて、ただの迷信だよ。もし本当にいたら世界中で問題になってる。いないからこそ、心霊映像やホラー映画が作れるんだよ。もしいたら先祖様に失礼じゃん。落ち着いて考えてみてさ。」

もうすぐ公園の時計の針は11をさそうとしている。こんな夜中にクラスメートに向かって何を話しているのだろう。ブランコに座る詩を横目に見る。

特徴的な背中まで伸びる髪は細く女の子らしい。目の奥は少し茶色っぽく、唇は薄いピンク色。顔はクラスの中では整っている方ではあるが、常に自分の机と窓の外に見える海しか見ていないので近寄りがたい雰囲気を出しているから、あまり目立った印象はない。


「じゃあさ。もし。もしもの話だけど私が“死ぬ”って言ったら、心配してくれるの?」

「何を言ってるんだ…当たり前だろ。死ぬな。俺から言えるのはそれだけだ。」


あまり話したことは無いが、隣から聞こえる彼女の声があまりにも悲しそうなしっとりした声で可哀想に感じた。身内に不幸でもあったのだろうか。少なくとも、簡単に死ぬのは良くないことだ。


「何があったんだ詩。急に俺に連絡をかけて、そんな話なんて…」

「“そんな話”なんて言うことないでしょ!澄野君なら分かると思ったのに。」

少し怒らせてしまったみたいだ。彼女にとって大事なことなんだろう。

「分かった、分かった。謝るから。んで何があったんだよ。俺でよければ聞いてあげるよ。」

手のひらどうしを重ねて頭を軽く下げる。

その状況に少し安心したのか、詩の口角が少し上がった。

「じゃあ。これから見るものを誰にも言わないと約束する?」

「………うん」


詩は制服のボタンの2つ全部を外し始める。そしてネクタイを滑るように外し、地面に落とした。

ーー俺だって高校生の立派な男子だ。

心臓の鼓動はますます速くなり、目をつぶりたいけど開くという謎の現象に襲われていた。


そして透き通るような白い綺麗な肌があらわになる。夜の公園。綺麗な星空。脱ぎ始める異性。


理性が吹き飛びそうだが、そこで抑える。

するとどこからかナイフを左手に持ち、自分の右腕を軽く切った。

「何をしてるんだ!!」

慌てて傷をタオルで抑える。お気に入りの白いタオルだが、それは仕方がない。

「えっ。ありがとう。優しいんだね。けど大丈夫、それよりもタオルを見て欲しいんだ。そうすればすべてわかるよ。」


ふとタオルに目をやる。夜の暗さでしっかりと見えないが、赤くはなっていない。




いいや。青くなっている。




血液が青色。それが示すものとは。


高校生のあまり良くない頭でさえ一瞬でわかる。

青色の血液。つまりロボットだ。

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