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【連載版】邪神に手駒として召喚されたらしいんですが(仮題)  作者: 龍凪風深
第二章 ダンジョンに潜るらしいんですが
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第40話 vsフロッグキング、ファイ!

大変、お待たせ致しました!


 蛙の迷宮(フロッグダンジョン)迷宮主ダンジョンマスターは、三匹の蛙だった。

 否、正しくは迷宮主ダンジョンマスター一匹とお付きが二匹だ。


 真ん中に、二足で立つ、王冠を被り、マントを羽織り、杖を持った緑蛙、左右には二足で立つ、兜を被り、剣を持った薄緑蛙。


 雪菜は三匹に向かい、鑑定アプレイザルを使用する。


 (迷宮主ダンジョンマスター蛙の王(フロッグキング)レベル25、蛙騎士フロッグナイトレベル16、二匹……)


 視界の内に、浮かび上がった文字を見付めながら、雪菜はダガーを引き抜く。


 「迷宮主ダンジョンマスターって一匹じゃないの~?」

 「三匹、きつい」

 「俺達三人で一匹ずつ相手をするぞ」


 げ、と顔を引きつらせる勇人に、頷く裕司。

 精市は、僅かに眉根を寄せると、そう言って「栗原さんは加鳥を捜索。シルビィさんは俺達の補助を。加鳥を見付け次第、離脱します」と、指示を出す。

 四人は黙って頷くと、各自の役割の為に動き出した。


 精市が蛙の王(フロッグキング)に、勇人と裕司が蛙騎士フロッグナイトに向かい、シルビィは詠唱を始める

 雪菜は壁寄りに駆け、「加鳥くん、居るっ?」と声を上げた。


 だが、返事はない。


 「加鳥くんっ!」 


 奥へと足を進ませて、先程より大きな声で名前を呼ぶ。

 所々に大きな岩のある広いこの階層フロア内に、雪菜の声が響く。


 「っ……く、栗原さんんっ!!?」

 「加鳥くん? 何処? 助けに来たから早く出て来て。逃げるよ」


 奥から晋也の驚愕の声が聞こえ、雪菜はそう声を掛ける。

 すると、大きな岩の影から、晋也が慌てて飛び出して来た。


 「うおぁーっ、助かったあぁ……!! 栗原さんマジ女神、結婚して!」

 「寝言は寝て言って」

 「辛辣っ?!!」

 「早く行くよ」


 半泣きの晋也を連れて、雪菜は扉まで戻るべく足を動かす。

 ちらり、と動かした視線には、自分と精市達三人に勇ましい腕(ブレイヴアーム)を行使するシルビィと、己の得物をぶつけ合う三人と、蛙三匹の姿が映る。


 「シンヤ様! ご無事だったのですね!」

 「あ、はい、この通り!」


 晋也が、シルビィに頷く。

 雪菜は階層フロアの真ん中で繰り広げられる戦闘を見付め、これ、離脱可能なの?、と眉根を顰める。


 片や杖、片や片手剣で押し合い、弾き、また押し合う精市と蛙の王(フロッグキング)

 剣と剣で、互いに飛んだり跳ねたり斬り結ぶ勇人と蛙騎士フロッグナイト

 蛙騎士フロッグナイトより振るわれる剣を、器用に躱しながら、短剣二本を振るう裕司。


 時々、ぶつかり合う得物が、互いに触れて傷を付ける。


 (これ、相手が三匹も居たら全員で逃げるのは難しいんじゃ……?)


 雪菜はそう内心で呟くと、取り敢えず蛙騎士フロッグナイトを一匹討伐しようと、シルビィに「シルビィさん、加鳥くんは任せたよ」と告げ、勇人の元に足を進めた。


 背後で「え?!」と声を上げる、晋也には構わずに。


 「っ、おっも……!」


 顔を歪めながら、勇人が振り下ろされた蛙騎士フロッグナイトの剣を、受け止める。

 ギリギリ、と押し合い、互いに弾き合う。


 そこに、雪菜が「黒井くん、避けて」と割り込む。

 勇人は少々目を丸くしながらも、バックステップで後ろへ下がった。


 (歌導術ステラトラグディ、似非風の刃(ウインドカッター)!)


 勇人が下がったのを確認し、直ぐに歌を奏でる。

 歌うのはアップテンポな曲で、それに合わせて蛙騎士フロッグナイトを無数の刃と化した風が襲う。


 (これくらいじゃ倒れないか)


 風の刃に身体を刻まれながらも、蛙騎士フロッグナイトが「ゲゴゴッ!」と鳴き声を上げて、雪菜へ突っ込んでくる。

 雪菜は防壁の歌声(プロテクトソング)に切り替え、斬り掛かってきた蛙騎士フロッグナイトの剣撃を防ぐ。


 「オレの事、忘れてない~?」


 勇人が蛙騎士フロッグナイトの背後に回り、下から斜め上に向けて剣を滑らせる。

 だが、それはびよん、と跳び跳ねて回避され、跳ねた蛙騎士フロッグナイトは勇人の背後に着地し、剣を振るった。


 「人間なんて軽々飛び越えられる訳」


 直ぐ様振り向き、剣撃を受け止めると、勇人は小さく呟く。


 「階層主フロアボスの跳躍よりマシじゃない?」


 勇人と蛙騎士フロッグナイトが互いに弾き合った瞬間に、雪菜が素早く地を蹴り、相手の懐に飛び込む。

 ダガーを真っ直ぐに構えて、腹部を貫かんと動く。

 それは見事に剣で防がれ、後方へと僅かに弾き飛ばされるが、その際にダガーを投擲し、今度こそ蛙騎士フロッグナイトの腹部に突き刺さった。


 「栗ちゃん、得物投げちゃダメ、じゃない?」


 よろける雪菜を横目に、ダガーを突き刺され、短く悲鳴を上げる蛙騎士フロッグナイトに、勇人が追撃を入れる。

 振り下ろした剣が、蛙騎士フロッグナイトの身体を斬り裂く。


 次いで、血を流しながら、反撃をしようと蛙騎士フロッグナイトの振るった剣を避け、剣の切っ先を喉へと突き立てた。


 「歌使いながら近付けば回収出来たから、問題ないよ」


 雪菜は言いながら、地面にどさり、と倒れ伏し、僅かに痙攣する蛙騎士フロッグナイトに近付き、その腹部からダガーを引き抜く。

 「そっかー」と勇人は頷いて、精市と裕司に視線を向けた。


 「じゃ、オレ精ちゃんの加勢するから~。栗ちゃんは裕ちゃんよろしく~」


 ひらりと手を振って、精市の元へ歩いて行く。

 雪菜は小さく息を吐き、精市と裕司に視線を向けた。


 蛙の王(フロッグキング)より突き出された杖先を、剣腹で受け止める精市と、蛙騎士フロッグナイトの剣撃を僅かに掠りながらも躱し、斬り掛かる裕司。


 (私は灰沢くんの加勢か)


 雪菜は内心で呟くと、ダガーを握り直して裕司の元へ向かう。


 「……っ!」


 鋭い剣撃が裕司の頬を掠め、それと同時に、二本の短剣が蛙騎士フロッグナイトの腹部を浅く切り裂く。


 「ゲコオォ」と一鳴きし、蛙騎士フロッグナイトが剣を振り下ろす。

 裕司は少々屈み、短剣をクロスさせて受け止めると、足払いを掛けるように蛙騎士フロッグナイトに蹴りを入れた。


 蛙騎士フロッグナイトの身体が、後方によろける。

 裕司は受け止めていた剣を弾き、地を蹴ると、二本の短剣を深々と蛙騎士フロッグナイトの両肩に突き立てた。



.

取り敢えず、ここらで区切り。



以下、おまけ。


 ◆◆◆◆◆◆



 晋也「……っっ」(びくびく)


 蛙の王「ゲコゲコ」


 晋也「……っっ?!!」(びくんっ)


 蛙騎士「ゲゴォッ」


 晋也「……っっっ?!!!」(がたがた)


 蛙騎士「ゲゲコ」


 晋也「……っ……っ~!!」(がたがたがたがたがたがた)






.


 


 

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