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【連載版】邪神に手駒として召喚されたらしいんですが(仮題)  作者: 龍凪風深
第二章 ダンジョンに潜るらしいんですが
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第39話 これはもう最下層コースでしょ?


 「栗ちゃんすげぇ~。アクロバティック~!」

 「……動かない。討伐、完了」


 勇人が感嘆の声を洩らし、裕司が大蛙ビッグフロッグに近付き、討伐確認を行う。


 「や、やりましたぁー!」

 「皆、お疲れ様」


 裕司の言葉を聞き、シルビィが嬉々としてガッツポーズする。

 続いて、精市がにこりと微笑んでそう声を掛けた。


 「お疲れ。いいとこ取りしちゃってごめん?」

 「ん、全然。最後、凄かった」

 「栗ちゃん、かっこ良かったし、いんじゃない~?」

 「無事に倒せたから問題ないよ、栗原さん」


 苦笑気味に頬を掻く雪菜に、三人が首を横に振る。

 それに、雪菜は小さく頷く。


 シルビィも便乗するように「セツナ様、かっこ良かったですよ!」と、雪菜に笑い掛けると、雪菜は「ありがとうございます」と苦笑を返した。


 (面子が良かったのか、案外早く倒せたな……)


 雪菜はじっと大蛙ビッグフロッグを見付めながら、思考する。


 そして、雪菜達は大蛙ビッグフロッグの魔石を剥ぎ取って、収納魔法アイテムボックスに収納し、勇人の片手剣を回収すると、「じゃあ、先を急ごうか」と言う精市の言葉で、一行は更に下層へ進んだ。







 ◆◆◆◆◆◆



 十一階層目。

 階層の広さも見た目も変わらず、敵も変わらず、レベルのみの上昇で、レベル12程度。

 雪菜達は晋也の名前を呼びながら捜索したが、やはり彼は居らず、更に下層へ向かう。


 大蛙ビッグフロッグの討伐により、一行はまたレベルが上がっていた。

 雪菜がレベル14、勇人がレベル12、シルビィがレベル9にまで上がり、精市はレベル15、裕司はレベル12までレベルアップしたそうである。


 レベルが上がった事で、特に敵に苦戦する事もなく一行は進む。

 十二階層、十三階層、十四階層と。


 やはり、と言うべきか、十四階層目にも晋也の姿はなく、残す所は最下層である、十五階層目のみ。

 下層落とし(アッパーアウト)は、最下層直通だったらしい。


 一行は声に反応して寄って来るフロッグと、井守ネウトを、勇人と裕司が斬り伏せ、階段を探す。

 時々、シルビィを標的にして来る相手には、雪菜か精市が動いて討伐する。

 シルビィは変わらず、付与魔法エンチャントマジックによる補助役だ。


 「ん、階段あった~」


 ふと、勇人が前方に発見した階段を指差す。

 それに伴い、五人は階段に向かって歩を進める。


 「下層、次、最終。迷宮主ダンジョンマスター?」

 「あ、はい。そう伺っておりますので、最下層には迷宮主ダンジョンマスターが待ち構えている筈です」


 裕司の問いに、シルビィが頷いた。

 精市がぽつり、「階層主フロアボスに続き、迷宮主ダンジョンマスター……か」と呟く。


 そして、五人は最下層への階段を下りて行った。


 「ねぇ、今更だけど。加鳥くんのレベルって……?」

 「ああ、加鳥のレベルは8だけど、問題ない筈だよ」


 首を傾げる雪菜に、精市が答える。

 後ろで、シルビィが「え、レベル8で最下階層?! と、扉前なら大丈夫ですよね……」と目を丸くした後、自分を落ち着かせるように呟き、裕司がフォローするように、「大丈夫」と告げた。


 「問題ない?」

 「加鳥は『隠蔽ハイディングLV8』のスキルを所持してるから、騒がない限り早々見付からない」


 更に首を傾げる雪菜に、精市は続けた。

 雪菜は「成る程」と、興味深そうに頷き、それで赤坂くんも灰沢くんもあまり慌てていない訳ね、と納得する。


 次いで、「魔物に見付からなくなるとか羨ましぃよね~」と勇人が混ざってきて、ああ、黒井くんも知ってたから、赤坂くん達と合流した時点で口調が戻ったのか、と内心で呟く。


 「お前は隠蔽ハイディングのスキルがあったら、絶対に働かなくなっただろう?」

 「ん~? ノルマは熟すよ~? 俺基準で」


 すっ、と目を細めて自分を見る精市に、勇人はのんびりとした調子で言う。


 「怠慢、ダメ、絶対」

 「えー、いーじゃんん」

 「勇人、働け。社畜、見習う」

 「いや、それ見習っちゃ駄目な奴じゃない~?」


 裕司がじと目で勇人を見付め、勇人は唇を尖らせる。

 精市はそんな二人に、「迷宮ダンジョン内で何やってるんだ」と、小さく溜め息を吐いた。


 「お三方は仲がよろしいんですね?」

 「そうだね、教室でも……よく三人で居るの見掛けた気がする」

 「教室、ですか?」

 「うん、その時は赤坂くんの髪の毛、真っ黒だったな……」


 失速し、雪菜が仲良く話す三人から離れて、後方のシルビィの元へと行くと、シルビィがにこりと微笑む。

 雪菜はぼんやり、と思い出すように三人を見付めた。

 そんな雪菜に、シルビィはきょとんとした。




 今までより長く感じる階段を下り続け、最後の段差を下りて、五人は最下層に辿り着く。

 最下層は、十階層目と同じように小部屋みたいな空間に、大きな扉があった。


 今度の扉は真っ赤で、取っ手と縁が金で彩られており、何とも豪華仕様である。

 この装飾を取ろうとする人は居なかったんだろうか、と雪菜は内心でどうでもいい事を呟いていた。


 「扉前には居ないようだな」


 精市が辺りを見渡して言う。

 残念ながら、扉前に晋也の姿は見えず、これで扉内に彼が居る事が確定した。


 「回復薬、渡して置くから各自の判断で使ってね」


 扉まで歩いて行く間に、雪菜が思い出したように薬瓶を取り出し、四人に渡す。


 基本的に魔力を消費しない勇人、裕司には体力回復薬小ライフミニポーションを四本、魔力も消費する精市には体力回復薬小ライフミニポーション三本と魔力回復薬小マジックミニポーション二本、基本的に後衛のシルビィには体力回復薬小ライフミニポーション一本と魔力回復薬小マジックミニポーション二本を配った。


 雪菜の手元の残数は、体力回復薬小ライフミニポーション二本と魔力回復薬小マジックミニポーション三本、解毒剤アンチドーテ五本、よくわからない薬瓶一本である。


 その内、体力回復薬小ライフミニポーション及び魔力回復薬小マジックミニポーション を一本ずつ飲み干し、一行は扉に手を掛けた。


 「今回も、もし危なそうでしたら退避しましょう。シンヤ様が見付かり次第、シンヤ様を連れて」


 シルビィの言葉に四人は頷き、扉を開け放つ。


 「ゲゴォ?」


 流石は蛙の迷宮(フロッグダンジョン)と言うべきか、最後の相手も──蛙であった。


 雪菜は階層フロアの真ん中に鎮座した、魔物を見据えて思う。


 ( あ、やっぱり迷宮主ダンジョンマスターも蛙なんだ)




.

いよいよダンジョンマスターに挑みます!

今回は少々のんびり回。



次回更新も明日19時以降になります!



以下、おまけ。



 ◆◆◆◆◆◆



 晋也「隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング隠蔽ハイディング」(ガクガクガク)



 かとりしんやは、いんぺいをつかった!

 どうやら、こうかはばつぐんだ!




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