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【連載版】邪神に手駒として召喚されたらしいんですが(仮題)  作者: 龍凪風深
第二章 ダンジョンに潜るらしいんですが
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第29話 蛙の迷宮にて、レベル上げに勤しむ


 翌日。

 修也及び、一グループ、四グループにより報告の受けた八重子及び、残りのグループは、ギルドに登録後、レベル上げの為に、ルイーン街から少々歩いた場所にある迷宮ダンジョン──蛙の迷宮(フロッグダンジョン)に来ていた。

 今回は、雪菜達三グループも昨日に購入した防具を身に付け、同行している。


 それと言うのも、小鬼ゴブリンの一件により、一週間程、アルルカの森は立ち入り制限が掛かり、立ち入るにはDランク以上のレベルが必要になるらしく、例えギルド登録をしたとしても、Fランクの採取依頼がほぼ困難になっていたからだ。


 その為、今ギルド連盟事務局の受付嬢は、ランクの低い冒険者には青鉱石の採取のみを進めている。

 青鉱石は、蛙の迷宮(フロッグダンジョン)のどの階層にもあり、一階層は大型犬程度の大きさの、紺色のおたまじゃくしモドキな魔物──幼蛙オタマと言う弱い魔物のみで、レベルの低い冒険者でも採取が可能だ。


 ただ二階層以降には幼蛙オタマの進化形態のフロッグや他の魔物が出る為、行動範囲は一階層のみに限られる。


 修也及び、一グループ、四グループは昨日、青鉱石採取の依頼を熟し、ここでレベル上げをしたそうだ。


 そして、そう報告を受けた八重子及び、四つのグループは、この蛙の迷宮(フロッグダンジョン)でグループ事に分かれ、青鉱石の採取、及びレベル上げに勤しむ。

 因みに八重子は、一番暴走しそうな六グループについて行くらしい。


 この人数分、同じ依頼(青鉱石、二十個採取)を一気に受けるのは難しいだろうと、グループ事に一人分ずつ受注した。

 ただ、雪菜達だけは事務局には行っておらず、依頼なしの、ただのレベル上げだが……。


 蛙の迷宮(フロッグダンジョ)、一階層目はとても広かった。

 グループ事に分かれても、問題ないくらいには。


 「ここってさ、全部で十五階層までだっけか?」


 迷宮ダンジョン内を歩きながら、正樹がふと問い掛けた。


 「うん、そうみたい。全部で十五階層で、十階層目に階層主フロアボス、最下層に迷宮主ダンジョンマスターが居るって」


 いのりが修也達に聞いた話を、そのまま語る。


 「んー、せつなんだったらこの階じゃレベル上げにならなそう」

 「まあ、私のレベル上げより他の人のレベルを上げるのが目的だから構わないよ」


 雪菜は苦笑する。

 今の自分のレベルは8。

 基本的にレベル1から、レベル3の幼蛙オタマを討伐しても、早々レベルは上がらない。


 「そうだなぁ、取り敢えず俺達のレベルを栗原さんに追い付けないとお話にならない」

 「正樹のスキルは使えないしな?」

 「そうなんだよなぁ……て、おい、トワ。笑うなし。レベルを上げれば、もしかしたら、とんでもスキルに化けるかもだろ?!」

 「典型的なサッカースキルがどう化けるんだ?」

 「こう、なんか、ほら、あれだ……!」

 「サッカーボールが具現化出来るようになるとか?」


 いつも何故か弄りの標的になっていた永久が、仕返しのように正樹を弄る。

 正樹は「お、ま、えっ……!」と、拳をわなわなと震わせた。


 「……セツナ様、あれはいいんです?」

 「放っといていいよ」


 首を傾げるシルビィに、雪菜はちらりと男子二人に視線を遣り、小さく息を吐いた。


 「あ、栗原さん……幼蛙オタマが居たよ?」


 そう言って、いのりが前方を指差す。

 指差した先には、二匹の幼蛙オタマが、元気良く跳び跳ねていた。


 当初、おたまじゃくしが何故、水辺でなくとも生きていけるのか、と言う疑問を美夜が口にしたが、それは魔物だから、おたまじゃくしモドキだからと言う言葉で片付けられた。


 雪菜はいのりに向かい、小さく頷くと、「先ずは、青瀬くんと私で行くよ」と告げる。

 突然指名された永久が、「え、俺?」と自分を指差して居たが、雪菜は構わずにダガーを引き抜き、「右よろしく」と駆け出した。


 「栗原さん、はえぇから!!」


 一拍遅れて永久も駆け出す。

 自分達を狩らんとするものの接近に気が付いたのか、幼蛙オタマはびよん、と大きく跳ねた。


 「……少軟水体プチスライムより弱い?」


 近付くなり、自分に体当たりをしようと突っ込んで来た、幼蛙オタマの頭上を軽く飛び越え、雪菜は背後からダガーで切り裂く。

 その一撃で、幼蛙オタマは地面に伏して、動かなくなった。


 雪菜はきょとん、と首を傾げる。


 「いや、レベル差じゃね?!」


 幼蛙オタマの体当たりを数度躱し、数度ダガーを突き刺して討伐した永久が透かさずツッコんだ。


 「せつなん、その幼蛙オタマ二匹共レベル1だったよ」

 「じゃあ、青瀬くんの言う通りレベル差で倒し易くなったのかも」


 美夜の言葉に、雪菜は納得する小さく頷く。


 討伐した幼蛙オタマは、特に売り捌く素材もないそうなので、ダガーを使用して魔石だけを回収した。


 迷宮ダンジョン内では、魔石さえ回収してしまえば、魔物の屍は迷宮核ダンジョンコアが吸収するらしい。

 ただ、魔石を残したまま放置すると、新しく強い魔物として同階層に生まれ直す恐れがある為、気を付けて欲しい、と修也達は忠告されたそうだ。


 「じゃあ、次行こうか」と、雪菜が歩き出し、皆もそれに続く。

 程なくして、また発見された幼蛙オタマ

 レベルは1で、今度は一匹だけであった。


 雪菜が「緑川さん、お願い出来る?」と問い掛けると、いのりは怖ず怖ずと頷いて、ダガーを引き抜く。

 少々逃げ腰になりながらも、いのりは意を決したように幼蛙オタマに向かって駆け出した。


 結果を言うと、辛勝である。


 幼蛙オタマの初撃は横によろけて回避出来たか、ダガーを突き刺した際に、僅かに尻尾と思わしきもので弾かれ、いのりは転んだ。

 そこに追撃のように体当たりをして来た幼蛙オタマ


 いのりは咄嗟に、頭に緩く刺さったままだったダガーの柄に合わせて足を上げ、そのまま相手の体当たりの勢いで、深々とそれを足裏で突き刺す。


 その攻撃が効いたらしく、幼蛙オタマは地にべちゃりと倒れ伏した。

 が、まだぴくぴくと痙攣しており、いのりはふらりと立ち上がると、ダガーを引き抜き、もう一度突き刺した。


 そうして、打ち身と擦り傷を負いながら、辛くもいのりは一人で幼蛙オタマに勝利した。


 雪菜達は「やったね」と、いのりに声を掛け、シルビィはいのりの傷を癒す。


 いのりは前回、小軟水体プチスライム一体を倒すのにも苦戦し、永久の手を借りていた。

 それが今回、誰の手も借りずに幼蛙オタマ の討伐に成功し、「や、やったよ~」と涙目になりながらも、嬉しそうに笑った。


 「やったね、いのりん。あたしも負けてられない!」

 「うん、ありがとう。茶越さん……」


 美夜が自分の事のように嬉しそうに笑い、いのりを抱き締めた。

 それに、いのりも嬉しそうに抱き返し、そんな二人を四人は見守る。


 (このまま、全員が強くなれば今後の生存率を上げられる。多分今は、一人でも戦える強さを身に付けるのが先決なんだろう。死なないように、生きられるように)


 雪菜は今後の事を心配するように、思案する。

 そして、ぽつり「でも、まだ私は……この世界を、夢のように見ているんだろうか?」と、静かに呟いた。




.

ダンジョンでレベリング!

敵はおたまじゃくし!


そして、大分強くなっている主人公(笑)



次回、更新も19時以降を予定しております。



以下、おまけ。



 ◆◆◆◆◆◆



 林檎「来たわ」


 叶太「ちょ、林檎ちゃんっ……!」


 林檎「なあに? わたしは戦わないわ」


 叶太「いや、ちょ、俺っ……! 連戦……!」


 林檎「ほらほら、あっちにも居るわ。わたしの分も狩って頂戴」


 叶太「代わりに狩っても、林檎ちゃんのレベルに影響ないよ?!」


 林檎「…………叶太くん、使えないわ」


 叶太「このお嬢様、辛辣?!」




.

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