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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
99/283

席替え

「そろそろ、席替えをしたいと思います」

先生の一声で、席替えが行われる。



一人ずつ、くじを引いて、

私が黒板に書いた番号の席を見ながら、

皆が新しい席に座る。


私は…

一番後ろの席だ…!


席を確認して、荷物を持って移動する。


「あ、茗子ちゃん、ここ?俺の隣だね!!」

私の隣に座ると、航くんが笑顔で言った。


「………」

私は航くんを見ずに、手をあげる。

「先生、私目が悪いので、席前の方が良いです。」


「あら、そうなの?だれか相田さんと代わってあげて?」


先生の言葉に、前列が一斉に手をあげた。

私はそのうちの一人と席を変えてもらう。


ーーーーごめん、航くん。航くんは何も悪くないのに…。


心の中で謝りながら、一番前の席に移動する。




「隣だねー、よろしく!!」

愛梨が微笑んで迎えてくれる。


「よろしくね」


「良いなー、二人、席となりで!!」

休み時間になり、

隣になった愛梨と話していると、

彩が来て言う。


「てか茗子、目悪かったんだ、コンタクトなの?」

「ううん…でも一番後ろだと黒板見なくて」


「そっかー。なかなか自分から一番前には来たがらないよ、真面目だなー、茗子。」

「だって、もうすぐ中間試験だよね?」

「「あ…」」

私の言葉に、二人が固まる。


「やばー、忘れてた…」

「茗子、今度一緒に勉強会しようよ!!」

「良いけど」

「ぼ、僕も…」

後ろから声がして振り向くと、

仁科くんがこちらを見ていた。

「僕も、一緒に勉強したいです…」


「あれ、仁科、私の後ろだったの?気づかなかった…」

「鈴木さん、ひどいです」

愛梨が言うと、仁科くんが言い返す。

ーーーあれ、なんか仲良くなってる?


「仁科は勉強得意じゃないの?真面目そうだし」

彩が聞く。

「いや、それが全くで…」

「え、じゃあ、ただのオタクじゃん」

また愛梨が言う。

ーーーというより、なんか、仁科くんをいじって楽しんでる?


「じゃあさ、今度の日曜に勉強会しよーよ」

「あ、来週はバスケ部の試合があって…」

愛梨の提案に私が遠慮がちに言うと、

「あ、そうだ。茗子、バスケ部のマネージャーになったんだもんね…」

彩が言う。


「じゃあ、土曜は?」

「午前中は練習あるけど、午後からなら大丈夫」

私が言うと、

「じゃあ、うちでやろー!」

彩が言う。

「決まりっ」

愛梨も言うと、仁科くんが、

「え、女の子の部屋に…」

モジモジして言うと、

「キモいから」

愛梨が冷ややかに言う。


「あ、男一人じゃ気まずいなら、仲西くんも呼ぼうか」

彩が言う。

「良いねー、バスケメンバーでやろやろ!!」

愛梨も嬉しそうに同意する。


「え…それは困る…」

思わず小さく声が出る。

「茗子、何か言った?」

ーーー私の言葉に、彩と愛梨が反応する。

せっかく盛り上がってるのに、水を指したくない。


「……ううん…何も…」

ーーーー私が、航くんと話さなければ、良いよね?


「仲西くーん、ちょっと来て~」

彩が航くんを手招きする。

ーーーえ、今言うの?

私はうつ向きながら固まる。


「何?」

航くんの視線を感じる。

ーーーーごめん、航くん。

私は目をあわせずにいる。


「今度の土曜の午後、うちで勉強会やらない?」

彩が言う。

「この五人で」

「良いけど…いいの?」

私の顔を覗きこむようにして、航くんが言う。


「なに、こないだのこと、気にしてるの?」

「あぁ、春先輩、またヤキモチ妬いちゃうかなーって?」

「春先輩はそんな器ちっさくないでしょー」

彩と愛梨がからかうように私と航くんを見る。

「良いじゃん、トモダチなんだから、ね、茗子」


ーーーー友達にはなれないって…言われたんだよ?


「せっかくバスケで仲良くなったんだし、五人でやろーよ、てか茗子がいなきゃ誰が先生やるの?」


「ごめん、私、ちょっとトイレ…」

私は逃げるように席を立った。


ーーハルくん、私はどうしたらいい?

ーーーー苦しくなる…。


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