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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
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97/283

航くんの存在…

ーーーーハルくんのクラスは、嘉津先輩達に勝ち、決勝に進んだ。


決勝戦の前に、お昼休憩をはさむ。


私はかすみ先輩が立ち去ったあと、

かすみ先輩の言葉の意味を一人考えていた。


しばらくして、

「茗子ちゃん、勝ったよー」

愛梨と彩が笑顔で戻ってきてくれた。


「え、すごいね!」

私が驚いて二人に言うと、

「菜奈のクラスと負け同士の最下位争い。うちのクラスは最下位ではなくなったよ!!」

笑いながら彩が言う。

「頑張って練習したからねー」

「てかさ、意外と仁科がいい動きしてたよね」

「確かに…」

配られたおにぎりとお茶を私に手渡しながら、

愛梨と彩が言う。


「そっか…仁科くんも頑張って練習してたもんね」

「てかあいつ、意外と運動神経良さそう…」

私の言葉に彩が言った。



私達がお昼ご飯を食べていると、

ハルくんが私のところに歩いてきた。



「茗子、さっき、足首捻挫したんだって?」

ハルくんが心配そうに言う。


ーーー私はさっきの写メの画像が頭をよぎる…。

ハルくん、知っちゃったの…?


「大丈夫?まだ痛む?」

私が返事をしないでいると、

ハルくんが私の前に座って足首に手を添える。


「は、ハルくんさっきはすごいね!!次決勝だね、頑張ってね」

私がうつ向きながら早口で言うと、

ハルくんがため息をついた。

「俺の質問に答えてないよね…」


「……まだ痛いよ…」

私が言うと、

「ーーーそんな答えづらい質問してないよな?それとも怪我した時の事、触れられなくないから?」

ハルくんが真剣な顔で言った。

それが、何を指すのか察して、私は口を開く。


「ごめんなさい」

「謝るような事があった?」

「……ない、けど」


「茗子がそう思うなら謝らないで。俺も疑いたくない。」

「…うん」

お互いの声が低くて小さくて、

とても悲しげに胸に響く。




「俺がクラスメイトで、その場に居れたら良いのにな…」

「え?」

ハルくんのことばに、

私がハルくんの顔を見つめる。

「そしたら俺が絶対助けに行ったのに」

ハルくんが悔しそうに言うと、


「茗子、俺優勝するから、応援してて」

私に笑顔で言う。

「うん…」

私も笑顔で応える。


じゃあ、邪魔してごめんな、と彩と愛梨に笑顔で挨拶すると、

ハルくんが友達のいるところへ戻っていった。



「春先輩って…本当に完璧な人ね…」

「本当…かっこ良すぎ…」

彩と愛梨がうっとりして言う。



「私が航くんに保健室に連れていって貰った時の写メ、撮られてて…ハルくんのクラスの女子(せんぱい)に。

私…絶対に怒られるって思ってたのに…」


「ヤキモチなら焼いてたじゃん。どうして怒るって思ったの?仕方なかったじゃん、茗子は歩けなかったし。春先輩はそこに居なかったんだし。」


「それって、仲西くんに何かそういう浮気的な感情が湧いたから?」

愛梨のことばに、心臓がドキンと音をたてた。


ーーーそんな、はずない。


「もしかして茗子、仲西くんのこと好きなの?」

彩が私に尋ねる。


ーーーそんなはず、ない。



「まさか…」

笑って首を振ると、


「じゃあ、どうして怒られるって思ったんだろうねー?」

愛梨が首を傾げた。


「分からない…」


ーーーー私が好きなのは、

今も昔も…ずっとずっと…ハルくんなの。



『ポニーテールめっちゃかわいい』

笑顔の航くんが浮かぶ。


「茗子、顔赤いよー?」

「熱中症?大丈夫?」


愛梨と彩が心配そうに言う。


「なんでもない、大丈夫だよ」


乱さないで、

私の心に…入ってこないで…。




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