航くんの存在…
ーーーーハルくんのクラスは、嘉津先輩達に勝ち、決勝に進んだ。
決勝戦の前に、お昼休憩をはさむ。
私はかすみ先輩が立ち去ったあと、
かすみ先輩の言葉の意味を一人考えていた。
しばらくして、
「茗子ちゃん、勝ったよー」
愛梨と彩が笑顔で戻ってきてくれた。
「え、すごいね!」
私が驚いて二人に言うと、
「菜奈のクラスと負け同士の最下位争い。うちのクラスは最下位ではなくなったよ!!」
笑いながら彩が言う。
「頑張って練習したからねー」
「てかさ、意外と仁科がいい動きしてたよね」
「確かに…」
配られたおにぎりとお茶を私に手渡しながら、
愛梨と彩が言う。
「そっか…仁科くんも頑張って練習してたもんね」
「てかあいつ、意外と運動神経良さそう…」
私の言葉に彩が言った。
私達がお昼ご飯を食べていると、
ハルくんが私のところに歩いてきた。
「茗子、さっき、足首捻挫したんだって?」
ハルくんが心配そうに言う。
ーーー私はさっきの写メの画像が頭をよぎる…。
ハルくん、知っちゃったの…?
「大丈夫?まだ痛む?」
私が返事をしないでいると、
ハルくんが私の前に座って足首に手を添える。
「は、ハルくんさっきはすごいね!!次決勝だね、頑張ってね」
私がうつ向きながら早口で言うと、
ハルくんがため息をついた。
「俺の質問に答えてないよね…」
「……まだ痛いよ…」
私が言うと、
「ーーーそんな答えづらい質問してないよな?それとも怪我した時の事、触れられなくないから?」
ハルくんが真剣な顔で言った。
それが、何を指すのか察して、私は口を開く。
「ごめんなさい」
「謝るような事があった?」
「……ない、けど」
「茗子がそう思うなら謝らないで。俺も疑いたくない。」
「…うん」
お互いの声が低くて小さくて、
とても悲しげに胸に響く。
「俺がクラスメイトで、その場に居れたら良いのにな…」
「え?」
ハルくんのことばに、
私がハルくんの顔を見つめる。
「そしたら俺が絶対助けに行ったのに」
ハルくんが悔しそうに言うと、
「茗子、俺優勝するから、応援してて」
私に笑顔で言う。
「うん…」
私も笑顔で応える。
じゃあ、邪魔してごめんな、と彩と愛梨に笑顔で挨拶すると、
ハルくんが友達のいるところへ戻っていった。
「春先輩って…本当に完璧な人ね…」
「本当…かっこ良すぎ…」
彩と愛梨がうっとりして言う。
「私が航くんに保健室に連れていって貰った時の写メ、撮られてて…ハルくんのクラスの女子に。
私…絶対に怒られるって思ってたのに…」
「ヤキモチなら焼いてたじゃん。どうして怒るって思ったの?仕方なかったじゃん、茗子は歩けなかったし。春先輩はそこに居なかったんだし。」
「それって、仲西くんに何かそういう浮気的な感情が湧いたから?」
愛梨のことばに、心臓がドキンと音をたてた。
ーーーそんな、はずない。
「もしかして茗子、仲西くんのこと好きなの?」
彩が私に尋ねる。
ーーーそんなはず、ない。
「まさか…」
笑って首を振ると、
「じゃあ、どうして怒られるって思ったんだろうねー?」
愛梨が首を傾げた。
「分からない…」
ーーーー私が好きなのは、
今も昔も…ずっとずっと…ハルくんなの。
『ポニーテールめっちゃかわいい』
笑顔の航くんが浮かぶ。
「茗子、顔赤いよー?」
「熱中症?大丈夫?」
愛梨と彩が心配そうに言う。
「なんでもない、大丈夫だよ」
乱さないで、
私の心に…入ってこないで…。




