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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
92/283

交換条件

二年のクラスに向かう途中で、

偶然友達と教室から出て、歩いていくハルくんを見かける。

どうやら、次は音楽の授業らしい。

次々に教室から人が出てくる。


ーーー私が居ないときの…ハルくんだ。

なんだか新鮮で、切ないけど嬉しくもなる。




私がもし同級生だったらーーこんなハルくんも、

見れるのにな…。


どう頑張っても、同じクラスにはなれない…

両想いになっても、彼氏彼女になっても…



熱狂的ファンの先輩達は、

ハルくんと同じクラスなんだよね…


「なんか用?」

ボーッとそんなことを考えていると、

その、先輩三人が私に気付いて声をかけてきた。


「なんか用って、よくそんなこと言えますね…」

彩が突っかかっていく。


「なんなの、あんた」

「茗子の友達です」

愛梨も私の前に立つと、私の代わりに言う。

「茗子の上靴とか隠したの、先輩たちですよね?」


「は?何言ってるの?証拠は?」

ーーーー証拠なんて、ないけど…。


「……でも、私のこと憎んでますよね?私がハルくんと付き合ってるから…」

私の言葉に、先輩が余計にキレた。

「分かってんなら、別れなさいよ!!」

「春くんは、皆のものなの、そう決まってたのよ」


彩と愛梨を押し退けて、先輩達が私の前に立つ。


「別れないなら、私達が別れさせてあげる…」


「嫌です。別れません。私、ずっとハルくんが好きだったんです。今やっと幸せなんです…」

先輩達の迫力に、怯みそうになったけど必死に伝えようとする。


すると、一人の先輩が、急に笑顔になり、言った。

「良いこと考えた!!相田さん、同じクラスの仲西くん今度紹介してよ。」

「え?」

ーーー急に声色が変わり、何を企んでるのか恐ろしくなる。


「もし、紹介してくれたら私達、春くんのことは諦める。どうかしら?」


「仲西くんは関係ないでしょ」

愛梨が言うと、

「じゃあ私達も春くんを諦めないから」


ーーーーこれ以上、航くんに迷惑はかけられない。


「負けません、私」

「ちょっと茗子…」

彩と愛梨が私の発言に驚いて振り返る。







「え、なんだそれ…」

彩と愛梨が次の休み時間に航くんに先輩との交換条件を話してしまった。



「でもさ、俺を紹介さえすれば、春先輩あきらめるって言ったんだろ、楽勝じゃん」


「ダメだよ、航くんを巻き込みたくない。」

私が言うと、

「大丈夫、すでに巻き込まれてるし」

航くんが笑って言う。


「俺は春先輩みたく誰にでも愛想を振り撒く訳じゃないから、その先輩達もすぐ飽きるんじゃない?」


「でも…」


「多分、何か企んでるよあの先輩」

彩が言う。


「じゃあ向こうが何企んでるのか、騙されたふりして様子みたら?」

航くんが言う。




放課後、体育館へ向かうところで例の先輩三人がすでに待ち構えていた。


「航くん、紹介したら、ハルくんをあきらめてくれるんですよね?」

私が言うと、

「もちろん」

先輩が笑顔で頷く。

その笑顔が逆に怖い…。


「じゃあ、紹介します」

航くん達に言われたとおり、私は告げる。

「良かったー、じゃあ今週の土曜10時に駅前で待ち合わせね」

「え…」

「紹介してくれるんでしょ?もちろん相田さんが間に入ってくれるのよね?」

「え…私もそこに?」

「当たり前でしょ面識ないんだから」

ーーーそれも、そうか。


「じゃあ私達、今日は帰るわ。バスケマネージャー、頑張ってねー」

………逆に怖いって。

なんで急に、こんな優しくなるの?

「ちなみに、このこと春くんにバラしたら、無効になるから、よろしくね」

目が笑ってない……。

ーーー前言撤回、やっぱり優しくなんてない…。



とりあえず、

それから私への嫌がらせはピタリと止んだのだった。




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