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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
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休日

解散になり、私たちは会場から家に帰るところだった。

「今日はありがとう茗子」

「ううん、私は何もしてないよ」

でも、今日は楽しかった。

バスケ部の皆の優勝を、近くで見れて…。


「私、ルールとかこれから覚えないと」

「無理しなくていいからな」

ハルくんが優しく言う。


「ううん…ちょうど良かったの、スポーツ大会の種目、バスケになったから」


「そうなんだ」

「うん、来週から昼休みに練習するんだー」

「楽しそうだな…」

「うん」


繋いでる手が心地よい。

こうしている時間(とき)が、本当に幸せだ。


ーーーバスケ部のマネージャーになれた。

まさか、あの嘉津先輩が私を受け入れてくれるなんて。


片付けを手伝っているとき、

嘉津先輩が言った。

「お前、今日どうだった?」

「楽しかったです。」

「…楽しい?キツくないのか?」

「私、バスケできないですけど…それでも今日みたいに頑張ってる皆さんのサポートができたのが、なんか、バスケしてないのに仲間になれた気がして…すごく嬉しくて…やりがいを感じました!!」

「ふーん」

つい、興奮してしゃべっていたことに気付いて、

慌てて手を動かす。


ーーー私は嘉津先輩に、

ふと気になることを聞いてみた。

「嘉津先輩、いつも一人で全部やってるんですか?」

「そうだけど?」

嘉津先輩が手を止めずに言う。


「私、この間バスケ部のマネージャー見学に行ったときから、かっこいいなって思ってたんです。先輩、すごくテキパキ仕事して、私もあんな風になれたらなって…」

ーーー私には、無理だろうけど。


私の言葉は届かなかったのか、

先輩は次の片付けに行ってしまうので、

慌てて後を追いかける。


と、嘉津先輩の顔が真っ赤なことに気付く。


「見てんじゃねー」

先輩がそう言うと、私の頭をぐいっと押さえる。


ーーーて、照れてるの?


無表情な嘉津先輩の、初めて見る表情に、

私は驚いた。


まさか、あのあと、マネージャーになれと言われるとは思わなかった…。






「茗子、これからもよろしくな」

ハルくんが私に言う。

「こちらこそ」

笑顔で答える。


「今日…うち来る?」

「えっ」

「もっと一緒に居たい」

ーーーーハルくんが優しく微笑んで言う。

「いま、誰も居ないから、大丈夫」


ーーーだれか居た方が、大丈夫なんだけどな…。

ドキドキ心臓がうるさく音をたてる。



ーーーハルくんが部屋に入れてくれる。


私が南高の受験の日、

高熱を出して倒れたときに貸してもらったベッド…。


思い出して、なぜか赤くなる。


「茗子、お茶どうぞ」

ハルくんがコップを部屋のテーブルに置く。


「ありがとう」

緊張して、受けとる手が震える。



「どうしたの?」

ハルくんがぷっと噴き出しながら私に聞く。

「茗子、意識し過ぎ…」


「意識なんて…………っつ」

言いかけた私の口をハルくんが塞ぐ。



唇が離れて、真っ赤になった私の耳元に

「可愛い…めいこ…」

ハルくんが囁きながらまたキスする。



「ごめん、今日は何もしないで帰そうと思ってたんだけど…無理だ」

そう言いながら、ハルくんが私を抱き上げて、

ベッドにそっと降ろす。


「かわいい茗子が悪い…」

私の首筋をそっと撫でる。

ーーーくすぐったい。


気付くと私は、ハルくんに身を委ねていた。

ハルくんが触れてくれるところ、全てが気持ちよくて…。

また、この感じ……。


ーーーー幸せで、泣きそうになる。



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