休日
解散になり、私たちは会場から家に帰るところだった。
「今日はありがとう茗子」
「ううん、私は何もしてないよ」
でも、今日は楽しかった。
バスケ部の皆の優勝を、近くで見れて…。
「私、ルールとかこれから覚えないと」
「無理しなくていいからな」
ハルくんが優しく言う。
「ううん…ちょうど良かったの、スポーツ大会の種目、バスケになったから」
「そうなんだ」
「うん、来週から昼休みに練習するんだー」
「楽しそうだな…」
「うん」
繋いでる手が心地よい。
こうしている時間が、本当に幸せだ。
ーーーバスケ部のマネージャーになれた。
まさか、あの嘉津先輩が私を受け入れてくれるなんて。
片付けを手伝っているとき、
嘉津先輩が言った。
「お前、今日どうだった?」
「楽しかったです。」
「…楽しい?キツくないのか?」
「私、バスケできないですけど…それでも今日みたいに頑張ってる皆さんのサポートができたのが、なんか、バスケしてないのに仲間になれた気がして…すごく嬉しくて…やりがいを感じました!!」
「ふーん」
つい、興奮してしゃべっていたことに気付いて、
慌てて手を動かす。
ーーー私は嘉津先輩に、
ふと気になることを聞いてみた。
「嘉津先輩、いつも一人で全部やってるんですか?」
「そうだけど?」
嘉津先輩が手を止めずに言う。
「私、この間バスケ部のマネージャー見学に行ったときから、かっこいいなって思ってたんです。先輩、すごくテキパキ仕事して、私もあんな風になれたらなって…」
ーーー私には、無理だろうけど。
私の言葉は届かなかったのか、
先輩は次の片付けに行ってしまうので、
慌てて後を追いかける。
と、嘉津先輩の顔が真っ赤なことに気付く。
「見てんじゃねー」
先輩がそう言うと、私の頭をぐいっと押さえる。
ーーーて、照れてるの?
無表情な嘉津先輩の、初めて見る表情に、
私は驚いた。
まさか、あのあと、マネージャーになれと言われるとは思わなかった…。
「茗子、これからもよろしくな」
ハルくんが私に言う。
「こちらこそ」
笑顔で答える。
「今日…うち来る?」
「えっ」
「もっと一緒に居たい」
ーーーーハルくんが優しく微笑んで言う。
「いま、誰も居ないから、大丈夫」
ーーーだれか居た方が、大丈夫なんだけどな…。
ドキドキ心臓がうるさく音をたてる。
ーーーハルくんが部屋に入れてくれる。
私が南高の受験の日、
高熱を出して倒れたときに貸してもらったベッド…。
思い出して、なぜか赤くなる。
「茗子、お茶どうぞ」
ハルくんがコップを部屋のテーブルに置く。
「ありがとう」
緊張して、受けとる手が震える。
「どうしたの?」
ハルくんがぷっと噴き出しながら私に聞く。
「茗子、意識し過ぎ…」
「意識なんて…………っつ」
言いかけた私の口をハルくんが塞ぐ。
唇が離れて、真っ赤になった私の耳元に
「可愛い…めいこ…」
ハルくんが囁きながらまたキスする。
「ごめん、今日は何もしないで帰そうと思ってたんだけど…無理だ」
そう言いながら、ハルくんが私を抱き上げて、
ベッドにそっと降ろす。
「かわいい茗子が悪い…」
私の首筋をそっと撫でる。
ーーーくすぐったい。
気付くと私は、ハルくんに身を委ねていた。
ハルくんが触れてくれるところ、全てが気持ちよくて…。
また、この感じ……。
ーーーー幸せで、泣きそうになる。




