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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
87/283

クラスの仲間

「茗子ちゃん、大丈夫か?」

体育の授業後、教室に一人、先に戻っていた私は、

航くんに声をかけられる。


「ーーー航くん、どうしたの?」

ーーーーそんなに息を切らせて…。


「もう、話し掛けないでって言ったのに…どうして?」

私が困惑して言うと、

「こないだはごめん、俺…やっぱり無理だった」

「え?」

「“友達”も無理だけど、諦めるのも、無理。」

ーーーそれって…。

「だから、気が済むまで好きでいさせて」

「でも私は…」

私が言いかけると、

航くんの手が私の口に、そっと触れる。


「分かってるよ、春先輩が好きなんだろ?良いんだ、それでも諦めたくないって思っちゃったんだから…」


「おいおい、告白かよー」

「仲西、やるな~」

男子が冷やかしながら教室に入ってきた。


「おう!俺は茗子ちゃんが好きだからな。」

クラスの男子に航くんが笑みを浮かべてハッキリと言うと、

「うわ…なんか…かっこいいな仲西」

「応援、するわ、俺たち…」

なぜかクラスの男子が照れながら言う。



女子も戻ってきて、クラスはまた騒ぎ出す。


「え、仲西くんが茗子に?」

男子の騒ぎを聞き付けて、彩と愛梨が私の席に来る。


「ちょっと茗子、どういうこと?」

「春先輩いるのに、仲西くんもキープしてるなんて、ズルい!!」

「キープ…なんかしてないよ」

私が言うと、


「そうだぞ、仲西は純粋に片想い中なんだ」

「お前らは黙ってろよ」

「あの澤野先輩の彼女を好きだって言えるんだからな!!勇者だろ、もはや」

男子が口々に言う。


「もー、じゃあまたイケメンでも探すか…」

「そーだね…」

彩と愛梨がため息まじりに言うと、

「茗子、ごめんね…確かに茗子はなにも悪くないのに」

と謝ってくれた。


「そういや体調はどう?大丈夫?」

「うん、平気…」


なんだか、クラスの中で、

私と仲西くんについてからかうのはタブーだという暗黙の了解が出来た。

なんというか、私と仲西くんをくっつけようという空気すら、感じられた。




その日の帰り、

クラスの皆と話し合いで、スポーツ大会の種目決めをした。


バスケットボールのメンバーは、

彩、愛梨、航くんと仁科くんと私になった。


あとは、その時の空いている人が助っ人で入るということで決まった。



「部活以外の種目限定だからなー、サッカーなら自信あるんだけど」

航くんの席にバスケメンバーが集まっていた。

「あ、私、中学でバスケ、ちょっとやってたよ」

彩が言う。

「ぼ、僕は、運動とか…全然ダメです…」

「そんなの、見なくても分かるわ」

愛梨が仁科くんに冷ややかに言う。


「仁科くん、私も運動苦手だから…」

私が言うと、

「じゃ、来週から昼休み、練習しようぜ」

航くんが言った。

「仲西くんがやるなら、やるー」

愛梨が可愛い声で手を挙げる。


ーーーー航くんとこうやって話していると、

“友達”だと錯覚しちゃうよ…。


チラッと航くんを見ると、目があってしまう。


「頑張ろう、茗子ちゃん!」

笑いかけてくれる航くん。


「うん…」



『気が済むまで好きでいさせて…』

そんなの、困る。

私はハルくんが好きなのに。


航くんをもう傷付けたくないのに…。



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