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いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
76/283

わがままな思い

「あれ、茗子、どしたの?」

次の休み時間、

気付くと私は菜奈のいるクラスに顔を出していた。


自分のクラスにいるのが、

ツラかったからかもしれない。


「菜奈…」

菜奈の顔を見ると、

気が緩んで途端に涙が出てしまう。


「おいおい、A組の相田さん、いじめんなよー」

「どうしたんですかー?」

菜奈のクラスの男子が話し掛けてくる。


「ちょっと、あんたらうるさい!」

茗子こっち、おいで!と菜奈が手を引っ張って、

人気のないところまで連れてきてくれた。


「なんか、あったの?」

「私…航くんのこと…ずっと傷付けてた?」

「え?」

「私…気付かずに…」

「ちょっと茗子…何がどうしたの?」

泣きながら言う私をなだめながら、

菜奈は私の話を聞いてくれた。




「やっぱりまだ茗子のこと…」

菜奈が言う。

「友達になりたいって言ってからも、航くん優しくて…てっきり友達になってくれたんだって思って…。私、自分のことばっかりで…。航くんの気持ちなんて全く気付かずにーー」


「話し掛けないで、か。よっぽど限界だったのかな…茗子が春先輩と付き合い始めたから、もう諦めなきゃって仲西くんも頭では分かってるみたいだったけど、やっぱりそんなすぐ切り替えられないよね…。今年は同じクラスだから余計に忘れられなくて、苦しいんだろうな…。」

菜奈が冷静に言う。


「とりあえず、仲西くんの気持ちを尊重して、話し掛けないようにしたら?」

「うん…」


「茗子がそんな顔しないの!ほら、笑ってないと、幸せ逃げちゃうよ!!」

「うん…」

菜奈は私の口を横に引っ張る。

「菜奈、痛い…」


二人で教室へ向かう。


「こうやって、茗子と話すの久しぶりだったね」

「うん、菜奈と話すと本当に落ち着く…」


「じゃあね、元気出して」

菜奈と別れてクラスに戻ると、

ちょうど授業開始のチャイムが鳴る。


航くんの席の周りに、

愛梨や彩がいて、

楽しそうに話している姿が見えた。


すると、なんだか寂しくなる。

ーーーー私って、本当に自分のことばっかり…。


私も…愛梨や彩みたいに航くんと、仲良くしたい、なんて…。



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