茗子の選択
「そっか…料理部ね…」
ハルくんが言った。
「うん…ごめんね」
「なんで謝るの?」
ーーーー料理部に見学に行って、
その日結局ハルくんと別々に帰っていた。
公園で待ち合わせて、今日のことを話す。
「良いんじゃない?料理部。」
ハルくんが言うけど、どこかトゲがある気がする。
今日職員室前で、
先輩マネージャーに言われたことを話したかったけど、
それは言わないでいた。
ーーーーどちらにしろ、
向いていないのは事実なんだし。
「でも、試合の応援とか行きたいな…」
私が言うと、ハルくんがゆっくり口を開いた。
「マネージャーやってる嘉津先輩、今年で引退なんだよ…もともとプレイヤーだったのに怪我してから試合に出れなくなって…」
「そうだったんだ…」
「去年も何回か見学に来た女子は居たんだけど…
みんな門前払い。
“本気でバスケ部のサポートする気がないやつは帰れ”ってね。
ーーもしかして茗子、嘉津先輩に何か言われた?」
「ううん、違うよ。本当に私向いてないなって。全国大会に行けるレベルのバスケ部なのに、ルールも分かってない私がマネージャーって場違いだし。」
「やっぱり言われたんだね」
ハルくんが苦笑いで言う。
ーーーえ、なんでバレたんだろう…。
私が何も言えないでいると、ハルくんが言った。
「俺はさ、茗子が近くで応援してくれたら、全国だって行けると思う」
ハルくんの言葉に頬が熱くなる。
「でも、茗子が決めることだもんな。」
「ハルくん…私マネージャーにはなれないけど、応援には必ず行くよ!」
「ーーーうん」
ハルくんが私の頭をポンと撫でる。
でも、少しだけ心配…
嘉津先輩、今年で引退って…。
後任のマネージャーいないと、困るんじゃ…。
「茗子?」
「ーーん?」
考えているところにハルくんに話し掛けられる。
「早速だけど、今週末の試合、応援来てくれる?」
「もちろん!行く!」
ハルくんのことばに、私は喜んで頷いた。