表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いっこの差  作者: 夢呂
【第二章】
72/283

バスケ部のマネージャー ~春目線~

「今日…友達とバスケ部のマネージャー見学に行こうと思ってるんだけど…」

「え?」

「ハルくん…居るよね?」

おずおずと俺の顔を見上げる。


ーーーー日に日に可愛さが増す茗子。

本当に目が離せないな…。


朝からキスしたい気持ちを抑えて、答える。

「居るよ、もちろん。じゃあ今日一緒に帰れる?」

「うんっ」

嬉しそうに茗子が返事をする。


茗子がバスケは部のマネージャーになったら、

嬉しい気もするけど、

入学式以来、まるでアイドルのような扱いで、

教室や部室、廊下、至るところで茗子の噂を聞くから、少しだけ不安もある。



部活とはいえ、

茗子が他の男と話してるところを見て、

正直嫉妬しないとは言いきれない。


ーーーーどんどん独占欲が強くなる。


今までに感じたことのない貪欲さに、

自分でも嫌になるーーー。


茗子には、知られたくない。




「おい、あれって…」

放課後になり、親友の寛人と部室に行くと、

寛人が俺にこそっと言う。


「うん。今日見学に来るって言ってたんだ…」


「マジか!!おーい、茗子ちゃーん」

寛人が馴れ馴れしく話し掛けに行くと、

茗子がビクッとして助けを求めるようにこちらに視線を向ける。

「寛人、茗子が怖がってる。」

俺は寛人を茗子から引き離すと、

「茗子、覚えてる?寛人」

「あ、うん、中学から一緒でしたよね?」


中学で寛人とはあまり接点は無かったと思うけど、

茗子は覚えていたようだった。



ーーーーーなんだろう、少しだけ胸がざわつく。



基礎練習が始まっても、

みんなの視線は、常に茗子に向いていた。

「かわいいですよね…相田さん」

パス練習が始まり、

隣にいた一年生が話しかけてくる。

「俺はD組で一番遠いクラスだけど、

うちのクラスでも、騒がれてますもん。

すごい高嶺の花って言われてるんですよ、彼女」

「へぇ」

俺がパスを出しながら答える。


「春先輩幼馴染みって噂はマジですか?」

「あぁ。茗子は俺のーー」

“彼女”だと言おうとしたその時、

パスを受け取るのに失敗した後輩は、

転がったボールを取りに行く。


そして、戻ってきて、思い出したように、

「あ、でも、噂で聞いた話、相田さんと同じクラスの仲西ってやつは、キスまでした仲らしいですよ」

と言った。


ーーーー仲西…。


「でも今は、彼氏は別に居るとか」


「おい、お前バカだろ…」

寛人が後輩をど突く。

ーーーー後輩の声は周りに丸聞こえで、

寛人にも聞こえていたらしい。


ちょうどパス練習が終わったところで、

突っ込みたくてウズウズしていた寛人が、

すぐに後輩のところに来たらしい。


「その“彼氏”が、春なんだよ」

寛人が俺の代わりに、でかい声で言う。



「え、あ…春先輩が…」

後輩は驚いて口をパクパクさせる。

「鈍感すぎるわお前。てかそんな喋ってる暇あるならもっと練習本気でやれ」


「すみませんでした」


そんなことより、俺はさっきの後輩の話を思い出していた。


ーーーー仲西…。


やっぱりあいつは、ただの“友達”じゃなかったのか?




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ