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同じ中学
「さっき、長岡中って言ってたよね?」
愛莉が休み時間に私の席までとんできた。
「え、うん」
私が頷くと、
「ってことは、仲西航くん、同じ中学じゃん!」
うっとりした顔で愛莉が言った。
「仲良かったりする?紹介してよー」
イケメンがクラスに居て良かったぁ…と嬉しそうに言いながら、
愛莉は、強引に私の腕を引っ張って、
航くんの席に行こうとする。
「え、いや、ちょっと…」
「いやいや、相田は仲西と色々あったからさぁ」
愛莉とのやりとりを見ていたのか、
からかうように、同じ中学出身の男子が言う。
「色々…?元カレってこと?」
「仲西の片想い、でもキスはーーー」
「ちょっとやめてっ」
愛莉が私に尋ねると、
代わりに男子が口を開こうとして、
私は慌てて止めに入る。
ーーー信じらんない。
航くんも居るのに過去の事バラそうとするなんて。
「ふーん…」
愛莉は何かを悟ったらしく、
それ以上何も聞いてこなかった。
ーーーもう、帰りたい…。
ハルくんに会いたいよ…。