入学式の前に…~春目線~
「お前、さっきの子、見たかよ…」
「見た見た、マジやべぇよ…」
「かなりの可愛さだったなぁ…今年の一年生の中でダントツだわ」
二年のクラス発表がされた掲示板の前に行くと、
男たちの会話が耳に入ってきた。
「ハル~、おはよ、今年も同じだなー」
いきなりガシッと肩を組まれる。
「あ、寛人、おはよ」
ーーー中学からの親友で同じバスケ部の金井寛人が笑顔で言う。
「それより、早速、あの幼馴染みで彼女の茗子ちゃん。物凄い噂になってるなー。」
「そう、みたいだな…」
「他人事みたいに言うなよ、皆まだお前に彼女いることすら知らないんだろ?」
「…まぁ」
ーーー聞かれてないのに、
報告して回るのはおかしいだろ。
「ハル、気を付けないと、狙われるぞー」
悪戯に笑うと寛人が茶化すように言った。
そして、深刻そうに声を潜めて、
寛人が話を続ける。
「マジな話、三年の比嘉先輩にだけは目をつけられないことを祈るわ…」
「なんだ、それ?」
俺が聞き返すと、
「お前、知らねぇの?かなりのチャラ男!なのに狙った女は絶対手に入れるんだ…彼氏が居ようが関係なく…そして飽きたら捨てる…最低な先輩だろ…」
噂好きの寛人が得意そうに話す。
ーーーー飽きたら捨てる…?
なんだよそれ、理解できない。
まぁ、俺には関係ない。
ーーーー茗子は、誰にも渡さない。それだけだ。