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終らない片想い ~航目線~
「仲西くん、今のって…」
「菜奈ちゃん…」
俺が帰ろうと靴を履き替えていると、
追いかけてきた菜奈ちゃんが声をかけてきた。
「仲西くんもしかして…まだ茗子のことーーー?」
「まさか…。ただ、あぁやってハッキリ言っとけば、茗子ちゃんも卒業前にイチイチ告られるってこと、なくて楽でしょ?」
深刻そうな顔をして、菜奈ちゃんが言うから、
俺は明るく努めて言う。
「俺、“友達”想いだからさ」
「仲西くん…」
菜奈ちゃんが何か言おうとしたとき、
甚が走ってくるのが見えた。
「じゃあね、バイバイー」
俺は背を向けて、歩き出した。
ーーーー『お前じゃ、勝ち目ない』、か。
自分で言って、思い知る。
春先輩に敵うヤツなんて、居るわけ無いんだ。
分かっているのに、想いを消せない自分。
ーーーこの想いも、
卒業と一緒にリセットできたら良いのに。