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いっこの差  作者: 夢呂
【第一章 】
60/283

卒業前の告白

「来週の金曜日、卒業かぁ…」

放課後、菜奈がしみじみと言う。


「なんだかあっという間だったね…」

私もそう言いながら、外に目を向ける。


ーーーこの景色も、もう見納めなんだな。


その時、クラスの男子が私に声をかける。

「相田、呼ばれてる」

ーーー?

とりあえず、男子が指差す方を見ると、

知らない男子が立っていた。

ーーーあの学ランの線は…二年生?


「私に?」

ーーーなんだろう…。

菜奈も私と首をかしげる。


廊下に出ると、

「相田先輩、ずっと好きでした!!」

真っ赤になりながら、いきなり告白される。


「俺と…付き合ってくださいっ」



ーーーえ、何突然…。


しかも、皆いるのにそんな大きな声で…。


私は恥ずかしくなってうつ向く。


「俺、山口朝陽(あさひ)って言います!!先輩のことは一目惚れしてからずっと好きで………」


「ごめんなさい…」

皆の視線を感じて、やっとのことで声を出す。


「え、あの…もしかして仲西先輩と付き合ってます?」

「え?」

「すみません、だったら…俺、諦めます…」

私が驚いていると、

勝手に解釈して落ち込んだように言う。


「え?いや、違うけど…」

「違うんですか?やっぱり別れてたんですね?」

「え?」

ーーーなんで航くんと付き合ってたこと前提なんだろ…。


「お前さ…隣のクラスまで声丸聞こえだから」

隣のクラスから、航くんが出てきて、

余計にギャラリーが増えた。


「仲西先輩、相田先輩とは別れてますよね?」

「てか、付き合ってないから」

ーーー航くんがイライラしたように言う。


航くんのそんな様子にも臆することなく、

山口くんは私に向き直ると、明るく口を開く。


「じゃあ、俺とーーーー」

「茗子ちゃんには、春先輩っていう彼氏がいるから、お前、諦めろ」

航くんが、山口くんの言葉を遮って言い放つ。


私は驚いて、心臓がはね上がった。


周りで様子を見ていたクラスの人達も、

みんな声をあげて驚いた。

「え、マジか!!」

「茗子、いつの間に?」

いろんな声が聞こえて、恥ずかしくなる。


「春先輩って、あの…去年の生徒会長の…」

呆然と立ち尽くしている山口くんに、

航くんが吐き捨てるように言った。


「そうだよ。お前なんか、勝ち目ないんだよ」


「あの…二人は…知り合いなの?」


「あぁ、サッカー部の後輩…」

私の疑問に、航くんが目を合わせずに言う。


「分かったら、サボってないでさっさと部活行けよ。」

航くんの言葉に、

山口くんは泣きそうな表情で走っていってしまった。


「航くん…」

ありがとうと言うべきなのか、

一瞬悩んで、私は言葉を切った。


ーーーなんだか、すごく怒ってる?

こんな航くん、初めて見たかも…。


「勝手にごめん、バラして…」


山口くんが居なくなった後、

航くんがポツリと言った。


「あ、別に内緒にしてたとかじゃないから大丈夫…」


私が慌てて言うと、

航くんは何も言わずに帰っていった。


そのあと、

私がハルくんと付き合っているという話は、

学校中に広がり、

公認カップルになったと、菜奈から聞いた。





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