急展開
バレンタインから数日経っても、
私はまだ立ち直れなかった。
こうなることがわかってて、
告白したはずなのにーーーー。
やっぱりハルくんにとって、私はただの………。
何度も、あの日の現実が思い出されて、
泣いた。
泣いても泣いても…変わらないのに。
分かってるのに、涙は止まらなかった。
その日も、朝からベッドで涙を拭う。
そして、元気なフリをして、
家を出る。
その日の夜、
いつものように、
寝る前に携帯電話の電源を入れると、
チャットが届いていたことに気付いた。
ーーーーハルくん…。
『この間はごめん。今夜、公園で待ってる』
私は…また涙が出てきた。
ーーーーなんで?
あらたまって、フラれるの?
怖い……
またハルくんに面と向かってフラれるのが。
でも………。
気になって窓から公園を覗くと、
ハルくんがブランコにいた。
ーーーいつから待ってるの?
もう21時だよ?
会うのが怖いのに、
私は気付いたら、足が公園に向かっていた。
「茗子ちゃん…」
ハルくんが安心したように声をかける。
「良かった、半分諦めてた」
「……」
私は何も言えなかった。
ことばを発したら泣いてしまうと思った。
ただ、真っ直ぐにハルくんを見つめた。
ーーーー好きだった、でも、フラれた。
「こないだは、混乱して…ひどいこと言ってごめん…」
ハルくんも、私を真っ直ぐに見て言った。
「俺…あれから何度も考えてた…自分の気持ちに向き合えてなかったことに気付くまで…」
「……」
ーーーーえ…なに?ハルくん言ってるの?
私がハルくんのことばに混乱していると、
ブランコにいたはずのハルくんが、
私の前まで近づいてーーーー。
「バレンタインの時の返事、やり直させて…」
「ハルくん?」
「俺の彼女になってくれる?」
ーーーー自分に何が起こったのか、
よく分からなかった。
え、これは…夢?
「だって、ハルくん私のこと…」
ーーーー“妹”としか見てないんだって、
言ったよね?
言いながらボロボロ涙が出てくる。
すると、ハルくんが私を抱きしめた。
「俺が勇気がなくて…いつからか、
茗子は“妹”としてじゃなくて“好きな人”だったのに、それを認めるのが怖くて…気付かないふりしてた。泣かせて…ごめん。傷付けて…ごめん。」
「私…ハルくん好きでいて良いの?」
ーーー隣にいても、良いの?
私の頬に手を伸ばして、涙を拭いながら、
ハルくんが微笑んだ。
「好きでいてくれる?」
大好きなハルくんの笑顔に、
私はまた泣いた。
ーーーーーー嬉しい。
私はハルくんにしがみついた。
ハルくん…お願い。
ーーーーー離さないから、離さないで…。