告白のあと
頭がクラクラした。
――――言えた。
顔から火が出ているように、熱い。
びっくりしたようなハルくんが、
少しして口を開いた。
「なんだよ、今さら…。俺だって茗子ちゃん好きだよ?」
ハルくんから“好き”と言われて、
心臓が止まるかと思った。
嬉しすぎて、泣きそうになる。
嬉しい………でも、本当に?
「茗子ちゃんは、俺の大事な妹だって、いつも言ってるだろ!」
ブランコから降りたハルくんが、私の頭に手を伸ばすと優しく撫でる。
―――その瞬間、
私は心にぽっかりと穴が開いた気がした。
驚くほど、からだが冷えていくのが分かる。
「違う、私はハルくんを―――」
私が、泣きそうになるのを堪え、
弁解しようとすると、それを制すように、
ハルくんが困ったような笑顔で言った。
「茗子ちゃん、ごめんね…」
――――ガンッと頭を殴られたような感覚で、
私はフラフラしそうになりながら、
立ち尽くしていた。
「俺…茗子ちゃんのこと…ずっと妹みたいに思ってたから…」
ハルくんが困惑しながら言う。
「うん、分かってたから…」
声が震えた。
なんとか必死に笑顔を作って言ったけど、
目頭が熱くなり、涙が浮かんで視界がぼやける。
その時、背後から急に声がした。
「お前っ!」
そう言ってハルくんをいきなり殴ったのは……。
「サクちゃん…」
私は見られないように涙をぬぐうけど、
涙は溢れて止まらなかった。
ハルくんは、
突然現れたサクちゃんに殴られても、
何も言わずに、口元を押さえて立ち上がる。
「ハルくん…」
私が近寄ろうとすると、
「大丈夫、俺は何ともない。………ごめん俺…先帰るね。」
それだけ言うと、帰っていった。
――――私の渡したブラウニーを持って。
「…茗子、大丈夫か?」
サクちゃんがそっと言った。
その優しい言葉に、私は泣き崩れた。
いつまでも、涙は止まらなかった。
だって私は、ずっとずっと好きだったんだから。
そんな簡単に、涙は止まらないよ…。
「茗子…」
サクちゃんが優しく抱き締める。
――――ダメだ、サクちゃんの気持ち知ってるのに…好意に甘えたら…。
私は、サクちゃんの腕の中から逃れようとする。
「大丈夫、俺はただの“弟”だから。茗子姉ちゃんのこと支えるくらいはできる…」
サクちゃんが、囁くように言った。
「…………」
私は何も言えなかった。
「だから、寄りかかるぐらい…してよ…」
―――サクちゃん、ごめん。
ありがとう…。