表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いっこの差  作者: 夢呂
【第一章 】
53/283

告白のあと

頭がクラクラした。

――――言えた。


顔から火が出ているように、熱い。


びっくりしたようなハルくんが、

少しして口を開いた。


「なんだよ、今さら…。俺だって茗子ちゃん好きだよ?」


ハルくんから“好き”と言われて、

心臓が止まるかと思った。

嬉しすぎて、泣きそうになる。


嬉しい………でも、本当に?


「茗子ちゃんは、俺の大事な妹だって、いつも言ってるだろ!」

ブランコから降りたハルくんが、私の頭に手を伸ばすと優しく撫でる。


―――その瞬間、

私は心にぽっかりと穴が開いた気がした。


驚くほど、からだが冷えていくのが分かる。




「違う、私はハルくんを―――」


私が、泣きそうになるのを堪え、

弁解しようとすると、それを制すように、

ハルくんが困ったような笑顔で言った。


「茗子ちゃん、ごめんね…」


――――ガンッと頭を殴られたような感覚で、

私はフラフラしそうになりながら、

立ち尽くしていた。


「俺…茗子ちゃんのこと…ずっと妹みたいに思ってたから…」


ハルくんが困惑しながら言う。


「うん、分かってたから…」

声が震えた。

なんとか必死に笑顔を作って言ったけど、

目頭が熱くなり、涙が浮かんで視界がぼやける。


その時、背後から急に声がした。

「お前っ!」

そう言ってハルくんをいきなり殴ったのは……。


「サクちゃん…」

私は見られないように涙をぬぐうけど、

涙は溢れて止まらなかった。


ハルくんは、

突然現れたサクちゃんに殴られても、

何も言わずに、口元を押さえて立ち上がる。


「ハルくん…」


私が近寄ろうとすると、

「大丈夫、俺は何ともない。………ごめん俺…先帰るね。」

それだけ言うと、帰っていった。


――――私の渡したブラウニーを持って。



「…茗子、大丈夫か?」

サクちゃんがそっと言った。


その優しい言葉に、私は泣き崩れた。



いつまでも、涙は止まらなかった。


だって私は、ずっとずっと好きだったんだから。

そんな簡単に、涙は止まらないよ…。




「茗子…」

サクちゃんが優しく抱き締める。


――――ダメだ、サクちゃんの気持ち知ってるのに…好意に甘えたら…。


私は、サクちゃんの腕の中から逃れようとする。


「大丈夫、俺はただの“弟”だから。茗子姉ちゃんのこと支えるくらいはできる…」

サクちゃんが、囁くように言った。

「…………」

私は何も言えなかった。


「だから、寄りかかるぐらい…してよ…」

―――サクちゃん、ごめん。

ありがとう…。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ