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いっこの差  作者: 夢呂
【第一章 】
52/283

告白

『帰ったよ、公園で待ってる』


夕方、受験も終わり、

早くに帰ってきた私は、

家でひとり、

ソワソワしてハルくんからの連絡を待っていた。



チャットが届いて、急いで公園へ向かう。


いよいよだ。


玄関で靴を履いてから、

ブラウニーを部屋に忘れたことに気づいてまた戻る。


――――バレンタインに渡すものを忘れるなんて、

致命的でしょ…。


自分で自分につっこむ。

――――落ち着いて、いつも通り、平常心で…。


言い聞かせながら深呼吸して、家を出る。



公園に向かうと、

ブランコにハルくんが座っていた。


私に気がつくと、

座んなよと笑顔で隣の空いているブランコを

ポンとたたく。



「良かった…会えて」

ハルくんの言葉に、

夢と同じでびっくりしてしまう。


「気になってたんだ…」

ドキドキしながら、私は恐る恐る尋ねる。

「何が?」


すると、ハルくんが笑って言った。

「何がって……昨日の試験だよ。どうだった?」

その言葉にガッカリしてしまう。


――――あぁなんだ、そんなことか…。

って、私今、何を期待してたんだろ…。


「試験は、大丈夫だったよ…ありがとう」

勝手に勘違いして恥ずかしくなり、慌てて答える。



「そっか…良かったね…」

ホッとしたようにハルくんが笑顔で言う。

「それで、ね」

渡そうとして、声を出すと、

途端に心臓の鼓動が響いて、

自分でもすぐ分かるぐらい顔が赤くなった。


「今日はね、これ、渡したくて…」

ブラウニーの入った紙袋をハルくんに差し出す。

ハルくんはそれを、ハテナ顔で受け取る。


「今日バレンタインでしょ?それで…」

私が、そう言いかけると、

「あ、もしかして茗子ちゃんから?これ、手作り?初めてだよな、ありがと。」


嬉しそうに紙袋の中の、

ラッピングした箱を見て言ってくれる。

「茗子ちゃん、小さい頃からバレンタインは毎年くれてたよね…あ、でも2年ぶりか…?」

「それって、私が小学生の時でしょ?」

私はうつむいて答える。

――――って、違う、そうじゃなくて…。

私が言いたかったことは………。


「そうそう、茗子ちゃんが中学入ってからくれるのは初めてだね」

ハルくんは笑いながら、言う。


「小学生の時は、お母さんが買ってきて、

チョコレート渡しなさいって、意味も分からず、渡してただけだよ…」

私はうつむいたまま、言う。



「だと思った」

ハルくんはまた笑った。



「だけど、今年は…違うの…」

勇気を振り絞って、私はハルくんを見つめる。


「え?」

ハルくんが驚いた顔をする。


「私、ハルくんが好きなの…」


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